研究課題/領域番号 |
21K10072
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
清水 慶隆 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (10294597)
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研究分担者 |
貞森 拓磨 広島大学, 病院(医), 研究員 (40437611)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 誤嚥リスク / 呼吸モニタリング / 咽頭残留 / AI解析 / 鎮静 / 気道閉塞 / 誤嚥 / 窒息 / 電子聴診 / 呼吸音 / 嚥下音 / 呼吸異常 / 音響解析 / 歯科鎮静 / 嚥下障害 |
研究開始時の研究の概要 |
歯科治療時の鎮静管理では窒息や誤嚥といった合併症のリスクが高く、既存のモニタリングでそれらを覚知するのは難しい。その課題を解決するため、本研究では“音”によるモニタリングで、気道から発生する生体音伝搬と解剖学的な影響についての音響解析を行い、鎮静管理でリスクの高い誤嚥や窒息を、確実かつ迅速に覚知するために必要となるモニタリングの要件を明らかにする。さらに音響モニタリング障害の主因となる環境ノイズを除去することで生体音をクリーンに識別するための方策も併せて検討し、音響モニタリングで誤嚥や窒息を覚知するために必要な技術要件を解明する。
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研究実績の概要 |
鎮静中の気道開通性を維持するためには頭部後屈顎先挙上、スニッフィングポジションなどの頭位保持が有効な手段であることは周知の事実である。しかし一方で, 唾液や水分嚥下の観点からみると 気道開通を促す体位は必ずしも嚥下に対して有利なく、鎮静中の体位管理は“息のしやすさ”と唾液や水分喋下のしやすさを両立する必要があり、体位管理が不適切な場合、唾液または水分感下の代償機能が作用しなくなり鎮静中の誤嚥やむせの原因となる。2022年度までにAI解析アルゴリズムを最適化し嚥下定量を実施し、2023年度は歯科鎮静を受ける60人の患者を対象に、前向き観察研究を実施した。プロトタイプの音響モニタリングシステムで、頸部から取得した吸気音をAI解析し、上気道の液体貯留指数(STQV)を算出した。口腔内への注水前後と治療前と咳嗽時のSTQVを比較した。歯科鎮静中に14例の患者で咳嗽が観察され、カプノグラムで31例の無呼吸を検出した。しかし、このうち27例には呼吸音が確認された。さらに、歯科鎮静中に咳をした患者では、咳の直後にSTQVが大幅に上昇していた。研究結果より、AIを用いた新しい音響モニタリングシステムは、上気道の咽頭貯留を高感度かつリアルタイムに判別することで、歯科鎮静時の誤嚥リスクを軽減する可能性が示された。 また、咽頭残留は嚥下機能と大きく相関する。本研究では咽頭残留物を飲み込む際に生じる嚥下音についても、AIによる音響解析で指数化する試みを実践している。嚥下音の指数解析についても有用性が確認されたため、ALSとパーキンソン病患者を対象とした探索的観察研究を実施した。結果として嚥下障害患者の飲み込みの強さをAI解析で指数化することが出来ることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に実施した特定臨床研究の成果成果発表として、国際学術誌に2報の論文が掲載された。本研究の研究成果により、AIを用いた新しい音響モニタリングシステムで上気道の液体貯留を高感度かつリアルタイムにモニタリングすることが可能となり、歯科鎮静時の誤嚥リスクを軽減する可能性が示された。また、嚥下音のAI解析による指数化についてもALSとパーキンソン病患者でフィージビリティーを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で副雑音判別モデルの新たな課題が浮き彫りとなった。具体的には感度は実臨床に利用するのに十分なレベルであることを確認したが、特異度はやや低いため、センサーの改良による解析性能の向上を検討している。 また、2023年度の研究成果発表としてさらに1報の論文を投稿中であるため、1ヵ年研究期間を延長しセンサーの改良と追加の成果発表を実施することとした。
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