研究課題
基盤研究(C)
がんに関わる大規模データベース利用し,頭頸部扁平上皮がん患者499人のがん組織に発現する遺伝子量と生存率の相関を調べてきた.すると,Wntシグナルの阻害因子で分泌タンパク質のDKK-1の発現量が最も生存率と負の相関があることを明らかとなった.そこで本研究では,ヒト口腔扁平上皮がん細胞対してDKK-1を過剰発現またはノックアウトし,細胞の増殖・浸潤・移動能を調べる.さらに同細胞をヌードマウスに接種し,In vivoでDKK-1発現が口腔扁平上皮がんの増殖・浸潤・転移に与える影響を同定する.
口腔扁平上皮癌において潜在的頸部リンパ節転移を予測するバイオマーカーを検討するため,TCGA(The Cancer Genome Atlas)を利用し,頭頚部癌において予後相関があると考えられる因子について網羅的に検索を行ったところ、分泌型タンパクであるDKK1 (dickkopf Wnt signaling pathway inhibitor 1)遺伝子の関与が指摘できた。さらにその受容体であるCKAP4 (cytoskeleton-associated protein-4)との同時発現は、膵臓癌、肺癌および食道癌等で予後不良との関係が報告されている。われわれは,舌扁平上皮癌におけるDKK1ならびにCKAP4の発現に注目し,頸部リンパ節転移との関連を免疫組織化学的に調べ,潜在的頸部リンパ節転移の予測マーカーに利用できるかについて検討した。その結果、舌扁平上皮癌54例においてDKK1とCKAP4が共に陽性であった患者は,これらのマーカーのいずれか一方のみが陽性であった患者または共に陰性であった患者に比べて有意に頸部リンパ節に転移を認めた。以上より,悪性腫瘍の予後予測因子を網羅的に検索する方法としてデータベース解析による方法が有用であった。DKK1およびCKAP4の同時発現は舌扁平上皮癌における潜在的頸部リンパ節転移の可能性予測でき,予防的頸部郭清術適応決定の一助となりえる有効なバイオマーカーである可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 4件)
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