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甘草由来フィトケミカルによる気管支調節機構の分子機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K10108
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分57060:外科系歯学関連
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

脇田 亮  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60376712)

研究分担者 船山 ひろみ  鶴見大学, 歯学部, 講師 (00359530)
生駒 俊之  東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (20370306)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード気管支平滑筋 / フィトケミカル / カルシウムチャネル / カルシウムイオン / 甘草 / 喘息 / 代替医療
研究開始時の研究の概要

芍薬甘草湯は子宮筋筋強縮の弛緩・月経時の疼痛緩和を目的として広く用いられている。気管支平滑筋においても生理的な筋収縮には影響を与えずに筋強縮を抑制する可能性があり、また甘草代謝物の一部はコネキシン産生を抑制する。甘草由来フィトケミカルの気管支平滑筋収縮調節機構・持続収縮機構の解明、特に筋小胞体からのCa2+放出抑制に着目し、培養細胞を利用した細胞内収縮伝達経路に加えギャップ結合を介した細胞間伝搬機構を解明する。さらにトランスジェニックマウスを用いた気管支収縮の機能的解析を行い、気管上皮を介した修飾経路解明を目指す。

研究実績の概要

気管支狭窄の機序の一つとして、気管支平滑筋細胞内でのカルシウムイオンやcAMPを介した調節機構に注目している。また、その調節に影響を及ぼすものとして漢方生薬由来物質に注目し、気管支平滑筋調節機構の解明を目指してきた。そのなかで甘草由来フィトケミカルを用い、気管支収縮の直接的調節機構、気管上皮由来のメッセンジャーを介した間接的な平滑筋調節機構、ならびに気管上皮の安定化作用の解明を目指している。
前年までの研究では、甘草の主要成分であるglycyrrhizic acid(GA)およびLiquiritigeninの作用経路として、PLCβを介する収縮系とPKAを介する抑制系の細胞内情報伝達経路を検討した。結果として、cAMPシグナル伝達経路であるPKAを介した経路は活性化しなかったが、PLCβに対する抑制傾向が認められた。
一方協調的な気管支平滑筋細胞の制御が、ギャップジャンクションとコネクシンを介した細胞間情報伝達によっても調節されている可能性が指摘されている。そのためにギャップジャンクション遮断薬として広く用いられているcarbenoxolone(CBX)と18β- glycyrrhizic acid(18βGA)の前処理による平滑筋収縮を評価した。その結果CBXと18βGAは直接細胞内Ca2+誘発性収縮を抑制したことが示唆された。GAおよびその誘導体にPI3Kの活性阻害作用があることから、従来注目していたPKCを介する平滑筋収縮経路だけではなく、PI3K/AKTを介した平滑筋収縮調節や、イノシトール3リン酸(IP3)を介した筋小胞体由来のCa2+依存性の筋収縮を抑制する可能性も考えられる。一方Liquiritigeninなど他の甘草由来フィトケミカルの作用経路としてRhoキナーゼ(ROCK)にも着目し、PKC被依存性のMLCリン酸化をY-27632を対照として検証していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

筋収縮発現に影響する細胞内カルシウムイオン測定が可能な蛍光プローブの反応性の確認は終了しており、カイネティックアッセイ専用ではないプレートリーダーにより効率は低いが測定を継続している。気管支平滑筋を用い、細胞間情報伝達への甘草由来成分の影響を評価するため、carbenoxolone(CBX)と18β- glycyrrhizic acid(18βGA)で前処理を行なったが、想定した結果を得られなかった。CBXと18βGAにはギャップ結合阻害ではなく、IP3を介して直接細胞内Ca2+濃度上昇を抑制させる可能性が一部で指摘され始めた。現在IP3アッセイを利用して直接測定のための準備を検討中である。一方新たに導入した上皮細胞による測定はプロスタグランジン類の濃度に関して想定通りの結果を得られず刺激条件を検討中である。また同様に平滑筋細胞への弛緩作用を有するNOも標的に加え、その産生を評価する予定である。
COVID-19パンデミックによる動物実験設備の使用制限は解除されたが、イオントフォレーシスを用いて薬物投与を行ったマウスの呼吸機能解析を実施するための研究協力者の退職に伴い、ex vivo解析の目処は中断している。

今後の研究の推進方策

進捗状況の改善策として、気管支平滑筋細胞を用い、PI3K/AKTを介するシグナル伝達経路を新たに検討する。甘草由来フィトケミカルの前処理によるPIP3レベルの測定(ELISAを利用)、リン酸化AKTの測定(ウェスタンブロット)により実施する。また甘草由来成分のLiquiritigeninの存在下におけるヒスタミン刺激の細胞内Ca2+あるいはPLCβを介する経路の活性化へ及ぼす影響も検討する。さらにPLCβの関与する経路だけでなく、関連しないRhoA/ROCK経路も検討する。
また芍薬由来成分であるPaeoniflorinのcAMPを介したPKA産生による気管支収縮抑制作用において、glycyrrhetinic acidやその他誘導体などの甘草由来フィトケミカルと共に、アデニル酸シクラーゼ阻害剤やPDE4阻害を用いて本経路の活性化を検証する。
またCBXと18βGAによるIP3生成抑制を評価するために、従来は在外研究協力者に依頼していたが、研究推進のためELISAを用いた測定も検討する。一方気管上皮細胞の培養安定化に努め、PGs産生だけでな平滑筋弛緩作用を発揮するNO産生についても検討する。また甘草由来成分による上皮のPLA2産生抑制の程度を検討する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] pH-Responsive Release of Anesthetic Lidocaine Derivative QX-OH from Mesoporous Silica Nanoparticles Mediated by Ester Bonds2022

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Ken、Nakagawa Yasuhiro、Sato Yu、Wakita Ryo、Maeda Shigeru、Ikoma Toshiyuki
    • 雑誌名

      SSRN Electronic Journal

      巻: 78 ページ: 103977-103977

    • DOI

      10.2139/ssrn.4183237

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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