研究課題/領域番号 |
21K10113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉岡 徳枝 岡山大学, 大学病院, 講師 (50362984)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | CGRP / 癌骨微小環境 / 神経ペプチドCGRP / 口腔癌 / 骨破壊 |
研究開始時の研究の概要 |
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(Calcitonin gene-related peptide: CGRP)は知覚神経のマーカーであると同時に神経興奮時に知覚神経軸索の末梢から放出される神経ペプチドであり,血管拡張などを誘導することが知られている.近年,自律神経系が癌の増大を促進することが明らかとなってきたが,癌性疼痛を受容,惹起する知覚神経が癌細胞に与える影響は不明である. 本研究では,知覚神経由来のCGRPが癌骨微小環境における癌細胞の増殖に果たす役割を解明することにより,CGRPを標的とする新たな癌骨破壊制御に対する治療の臨床応用へ展開するための研究基盤を確立することを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は知覚神経由来の神経ペプチドであるCGRPが直接的あるいは間接的に癌細胞の増殖に与える影響を明らかにすることならびにCGRPが癌骨微小環境において癌細胞をとりまく細胞群(骨細胞、破骨細胞、血管内皮細胞、骨髄間質細胞など)に与える影響を明らかにすることである。これまでに、in vitroの実験で以下のことを確認している。1)口腔細胞株(HSC2,SAS)をCGRPあるいはCGRP拮抗阻害薬CGRP8-37の存在下で培養し、HSC2、SASともにCGRPによって細胞増殖は促進し、CGRP8-37添加により細胞増殖は抑制された。このことからCGRPは口腔癌細胞(HSC2, SAS)の増殖に直接的に作用していることが示唆される。2)樹立知覚神経細胞株F11をHCl添加にして作製した酸性環境で培養し、細胞内へのCa2+の流入を測定したところ、F11の興奮が惹起された。このことから、酸性環境は知覚神経興奮を誘発する。3)血管内皮細胞HUVECを用いてtube formation assayを行い、branching point、tube length、Netsを測定し、F11培養上清がpositive controlとして使用したVEGFと同等に強力にHUVECの管腔形成を誘導することを確認した。このことは、知覚神経から放出されるCGRPが血管新生を介して間接的に口腔癌細胞の増殖を誘導する可能性を示唆している。4)初代培養知覚神経細胞DRGにHSC-2およびSASの培養上清を添加し培養し、Calcein-AMで蛍光ラベルして可視化したところ、DRGの軸索延長が誘導されることを確認した。このことは口腔癌細胞が知覚神経の軸索延長を促進することを示唆している。以上の結果から、酸性環境は知覚神経を活性化させ、癌性疼痛を惹起する可能性が考えられる。また、知覚神経末梢から放出されるCGRPは血管新生を介して間接的に癌細胞の増殖を誘導する、あるいはCGRP受容体を介して直接的に癌細胞の増殖を促進する可能性があることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度はCGRP阻害薬の口腔癌骨浸潤モデルに対する治療効果の検討として、前年度実行できなかった動物実験も行う予定であったが、まだ着手できておらず遅れ気味である。そのかわりとしてin vitroの実験はすすめており、これまでに知覚神経が酸性環境において神経興奮が誘発されることや、知覚神経がCGRPの産生を介して間接的にHUVECの管腔形成を促進すること、ならびに口腔癌細胞が知覚神経の軸索延長を促進することを確認している。現在もCGRPが癌骨微小環境において癌細胞をとりまく細胞群(骨芽細胞,破骨細胞,血管内皮細胞など)に与える影響に関して,in vitroの実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は動物実験を行う。ヌードマウスを用いて脛骨近位端骨髄内に口腔癌細胞HSCを移植して骨破壊モデルを作製する。CGRP受容体アンタゴニストMK-0974を投与し、治療効果について対照群と比較検討する。現在、骨のリモデリングに関与する骨芽細胞ならびに破骨細胞に対するCGRPの影響について、in vitroでは樹立骨芽細胞様細胞やマウス骨髄細胞などを使用し、CGRP存在、非存在下で培養し、各細胞の分化、形成、機能におけるCGRPの関与を調べていくが、解析などについては時間的制約もあるため学外に委託することも検討している。最終的には癌骨微小環境における癌細胞の増殖に関して、CGRPの直接的効果と間接的効果を明確にする。
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