研究課題/領域番号 |
21K10114
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浜名 智昭 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40397922)
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研究分担者 |
林堂 安貴 広島大学, 病院(歯), 講師 (70243251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | プラスミン / E-カドヘリン / α2ーアンチプラスミン / 口腔癌 / 細胞増殖 / α2-アンチプラスミン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,プラスミンによるE-カドヘリンのプロセシングが口腔扁平上皮癌の細胞増殖に影響を与えるか検討し,そのメカニズムを明らかにする.また,プラスミン阻害による癌細胞の増殖抑制効果を検索するために,α2-アンチプラスミンの遺伝子導入が扁平上皮癌の細胞増殖に与える影響について,さらに,in vivoでのα2-アンチプラスミン遺伝子導入細胞の増殖抑制効果を検討する. 本研究はプラスミノ-ゲン/プラスミン系を標的とした口腔癌の増殖と浸潤・転移を阻止する新規治療法の開発に応用されると考える.
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研究実績の概要 |
プラスミンは蛋白分解カスケードの中心的な酵素として,がんの浸潤・転移を制御している.我々は,プラスミンが,E-カドヘリンを細胞間接着活性部位で切断することで,口腔癌の細胞間接着を抑制し,細胞分散を亢進することを示し,さらにプラスミン阻害物質であるα2-アンチプラスミンが口腔癌細胞の分散能を抑制することをすでに報告している.一方,これまでの研究で,扁平上皮癌細胞をプラスミンで処理することにより増殖能の亢進が示唆されたが,プラスミンの癌細胞の増殖機構への関与については明らかにされていない. 本研究者は,プラスミンによるE-カドヘリンの切断により,β-カテニンが細胞膜から細胞質内に遊離・蓄積し,さらに核内移行することで,β-カテニン/TCFを介したサイクリンD1などの標的遺伝子の発現が促進され,細胞増殖を亢進していると考えている. 各濃度のプラスミノーゲンを加えた培地で舌扁平上皮癌細胞株SCCKN細胞を培養し,細胞周期調節因子のサイクリンD1やc-Mycの発現をRT-PCR法にて解析したところ,いずれもmRNAの亢進を認めた.SCCKN細胞を各濃度のプラスミノーゲンを含んだ培地で培養後,SCCKNの膜画分,細胞質画分および核画分におけるβ-カテニン発現をウエスタンブロット法にて解析したところ,プラスミノーゲン処理により,SCCKNのβ-カテニンは細胞質と核画分中での発現が亢進した.さらに,α2-アンチプラスミンの遺伝子導入細胞の細胞増殖能は,SCCKNと比較し低下していた. 本研究はプラスミノ-ゲン/プラスミン系を標的とした口腔癌の増殖と浸潤・転移を阻止する新規治療法の開発に応用されると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラスミノーゲン/プラスミン系が細胞増殖に与える影響を検討し,プラスミノーゲン処理によるSCCKNの,細胞周期調節因子のサイクリンD1やc-Mycの発現亢進を確認した.また,プラスミノーゲン/プラスミン系が各画分中のβ-カテニン蛋白発現に与える影響を解析し,プラスミノーゲン処理により,SCCKNのβ-カテニンは細胞膜での発現が低下し,細胞質と核画分中での発現が亢進している所見を得た.α2-アンチプラスミン遺伝子導入細胞の細胞増殖能を検討したところ,プラスミノーゲン含有の培地で培養した遺伝子導入細胞はSCCKNと比較し約1/2の低い増殖能を示した.また,遺伝子導入細胞のサイクリンD1mRNAの発現はSCCKNに比べ低下していた. 現在,プラスミノーゲン/プラスミン系がβ-カテニン/TCF転写活性に与える影響をTOPflash/FOPflashルシフェラーゼアッセイシステムを用いて解析するために, TCF/LEF結合領域を有し,レポータ-遺伝子としてルシフェラーゼが組み込まれたレポーター発現コンストラクト(TOPflash)あるいはTCF/LEF結合領域が変異しているコンストラクト(FOPflash)と,ウミシイタケルシフェラーゼレポーターベクター(phRG-TK)をSCCKNに導入した.それぞれの細胞を各濃度のプラスミノーゲン存在下で培養し,細胞溶解液中のルシフェラーゼ活性を測定することで,プラスミノーゲン/プラスミン系のβ-カテニン/TCF転写活性を検索している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,プラスミンによるE-カドヘリンのプロセシングが口腔扁平上皮癌の細胞増殖に影響を与えるか検討し,そのメカニズムを明らかにする.本研究者はプラスミンによるE-カドヘリンの切断により,細胞膜から遊離したβ-カテニンが細胞質内に過剰に蓄積すると,核内に移行し,TCFと結合することで細胞増殖促進に働く遺伝子の発現を亢進し,扁平上皮癌の細胞増殖に影響を及ぼすのではと推測している.そのためTOPflash/FOPflashルシフェラーゼアッセイシステムを用いてプラスミノーゲン/プラスミン系のβ-カテニン/TCF転写活性を検索する.さらに,プラスミン阻害による癌細胞の増殖抑制効果を検索するために,in vivoでのα2-アンチプラスミン遺伝子導入細胞の増殖抑制効果を検討する.
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