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薬剤関連顎骨壊死の発症メカニズムの解明と新規予防法/治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K10120
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分57060:外科系歯学関連
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

柳生 貴裕  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00555550)

研究分担者 今田 光彦  奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (10834054)
桐田 忠昭  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード薬剤関連顎骨壊死 / 顎骨壊死
研究開始時の研究の概要

薬剤関連顎骨壊死(Medication-related osteonecrosis of the jaw: MRONJ)は、骨吸収抑制薬などの副作用として生じる難治性疾患である。本研究では、申請者らが考案したMRONJラットモデルを用いてリスク薬剤投与による歯周組織のタンパク発現とタンパク修飾の経時的な変動をプロテオーム解析により明らかにする。

研究実績の概要

当該年度では、MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)発症動物モデルを利用してMRONJの発症に関連するタンパク発現経路、およびゾレドロン酸の局所濃度の変動を詳細に解析した。さらに、成長因子を用いた新規MRONJ予防剤の検討を行った。

その結果、ゾレドロン酸を投与された群では、抜歯により歯槽骨に沈着したゾレドロン酸が遊離し、抜歯窩内の肉芽組織に再度沈着することが確認された。これにより、抜歯がゾレドロン酸の再分布を引き起こし、局所のゾレドロン酸濃度が増加することが明らかとなった。さらに、外科的侵襲による局所のゾレドロン酸濃度の上昇がMRONJ発症に強く関連していることが確認できた。ゾレドロン酸濃度の上昇が直接的にMRONJの発症リスクを高めることを示唆する結果であり、外科的侵襲により歯槽骨より遊離するゾレドロン酸の管理がMRONJ予防において重要であることが示された。
また、オートファジー関連タンパクであるAtg9aおよびLC-3の発現を調べたところ、局所のゾレドロン酸濃度とこれらのタンパク発現は逆相関を示す傾向が見られた。これは、ゾレドロン酸が局所のオートファジー機構に影響を与える可能性を示唆しているが、現時点ではその病的意義を明確にするには至っていない。このため、ゾレドロン酸がオートファジー機構に及ぼす影響のメカニズムについては、さらなる検証が必要である。
さらに、成長因子であるbFGFをハイドロキシプロピルセルロースに含浸させ、抜歯窩に局所投与することで、局所の血管新生や骨新生、粘膜再生が促され、MRONJ発症率が低下することを確認した。これにより、創傷治癒を促進することでMRONJ発症を抑制できる可能性が示された。bFGF含浸ハイドロキシプロピルセルロースの局所投与はMRONJの新規予防方法として有用である可能性を見出すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していたサンプル数にて動物実験を行い、標本を回収することができた。しかし、局所でのタンパク発現については、免疫組織化学、PCR法、FISH法などの手法を用いて詳細に検討する計画であったが、標本の脱灰行程の影響や予期せぬ技術的な問題により、当初の計画通りに解析を進めることが困難であった。
標本の脱灰行程の影響で核酸などの品質が低下し、解析精度に影響を与えたことなどが考えられた。一部の脱灰行程を変更することなどで対処可能となったが、対処法を検討し実施するのに予想以上の時間を要した。そのため、計画通りに研究を進めることができず、全体の進捗が遅れた。

今後の研究の推進方策

今後の展望としては、MRONJリスク薬剤がオートファジー関連タンパクの発現にどのような影響を与えるか、そのメカニズムを詳細に調査することである。具体的には、MRONJ発症のリスク評価に寄与するバイオマーカーの確立を目指す。また、外科的侵襲により歯槽骨より遊離するゾレドロン酸の局所濃度を薄める方法を検討し、ゾレドロン酸の局所濃度管理によるMRONJ発症リスクの低減策を模索する。さらに、bFGF含浸ハイドロキシプロピルセルロースの臨床応用に向けた基礎研究を進める。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Impact of beta-tricalcium phosphate on preventing tooth extraction-triggered bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw in rats2023

    • 著者名/発表者名
      Funayama Naoki、Yagyuu Takahiro、Imada Mitsuhiko、Ueyama Yoshihiro、Nakagawa Yosuke、Kirita Tadaaki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1 ページ: 16032-16032

    • DOI

      10.1038/s41598-023-43315-3

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)による抜歯後に発症するビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)の予防法についての実験的検討2022

    • 著者名/発表者名
      黒川 聡司, 柳生 貴裕, 舟山 直希, 今田 光彦, 上山 善弘, 今井 裕一郎, 桐田 忠昭
    • 学会等名
      日本口腔科学会近畿地方部会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)による抜歯後に発症するビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)の予防法についての実験的検討2022

    • 著者名/発表者名
      黒川 聡司, 柳生 貴裕, 舟山 直希, 今田 光彦, 上山 善弘, 今井 裕一郎, 桐田 忠昭
    • 学会等名
      日本口腔科学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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