研究課題/領域番号 |
21K10126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
設楽 彰子 朝日大学, 歯学部, 准教授 (30508718)
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研究分担者 |
佐藤 慶太郎 明海大学, 歯学部, 准教授 (10549041)
落合 隆永 朝日大学, 歯学部, 准教授 (20410417)
大野 雄太 朝日大学, 歯学部, 講師 (30796644)
長瀬 春奈 朝日大学, 歯学部, 助教 (40888799)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 放射線 / Cdc42 / 唾液腺 / ドライマウス / 放射線性唾液腺障害 / 放射線障害 |
研究開始時の研究の概要 |
唾液腺細胞は頭頸部がん治療時の放射線照射により急性障害を発症し、唾液分泌量の低下により口腔乾燥症が発症する。放射線は急性障害を引き起こすアポトーシスシグナルと、それを回避するオートファジーシグナルという異なる細胞内シグナルを活性化する。これらシグナルのバランスが細胞の運命を決定するため、その切り替えスイッチの探索が急務となっているが、未だ明らかでない。本研究では低分子量Gタンパク質の一種であるCdc42が持つ、細胞の恒常性維持機構を切り替えスイッチの1つと仮定し、急性障害発症の仕組みを探る。
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研究実績の概要 |
我々はまず放射線照射による細胞反応を解析した。C57BL/6マウスに全身麻酔をかけた後、卓上型X線照射装置 MX-80Laboを用いて、左側顎下腺・耳下腺領域に9GyのX線を照射した。頭頸部以外はタングステンシートを用いて放射線を遮蔽した。放射線照射1週間後に全身麻酔下でピロカルピン刺激による唾液分泌を測定した。唾液分泌量はピロカルピン刺激後2分おきに30秒間の唾液分泌量を計測した。その結果、放射線照射あり・なしで唾液分泌量に有意差はなかった。 Mist1CreERT2マウスは、Mist1遺伝子領域をcreERT2融合遺伝子に置き換えたマウスである。Mist1遺伝子は唾液腺の腺房細胞、小腸のパネート細胞など、ほとんどの漿液性分泌細胞でも発現している。我々はこのマウスとCdc42 floxマウスを掛け合わせたMist1-Cdc42 floxマウスを作成した。このマウスはタモキシフェン誘導性のCre媒介組換えにより、Cdc42 floxed配列が唾液腺腺房細胞(Cre発現細胞)で欠失する。 FM4-46はスチリル色素で、クラスリン依存性エンドサイトーシスあるいはバルクエンドサイトーシスを検出できる。我々は野生型マウスまたはCdc42ノックアウトマウスより摘出した耳下腺に対してFM4-64FXを1分、5分、10分取り込ませた。その後組織を固定し、共焦点顕微鏡(Leica TCS SP8)にて蛍光を観察した。その結果Cdc42ノックアウト細胞ではエンドサイトーシスが促進されることが明らかになった。エンドサイトーシスは障害を受けた細胞膜を修復する働きがある。これらの結果から、Cdc42はエンドサイトーシスを調節することにより、放射線照射により障害を受けた細胞膜を修復する役割がある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最初の半年間、育休のため自分で実験する時間が取れなかったため。また予算の関係上、卓上型X線照射装置 MX-80Laboの 購入が遅れたため、予定していた実験の開始に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
野生型(WT)とCdc42ノックアウト(KO)マウスの顎下腺に放射線を照射し、唾液分泌量を調べ、放射線照射の腺房細胞外分泌能への影響を調べる。さらに免疫染色、ウエスタンブロッティングによりアポトーシス、オートファジー活性のほか、エンドサイトーシスについて評価する。
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