研究課題/領域番号 |
21K10155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
五十嵐 薫 東北大学, 歯学研究科, 教授 (70202851)
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研究分担者 |
島田 栄理遣 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00822115)
山内 健介 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10364150)
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科, 教授 (50292222)
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (60226850)
土谷 忍 東北大学, 大学病院, 助教 (90547267)
森島 浩允 東北大学, 大学病院, 助教 (30825740)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | BAMP / 口唇口蓋裂 |
研究開始時の研究の概要 |
口唇口蓋裂は発生頻度が最も高い先天異常であり、出生直後から多職種による集学的治療が行われている。我が国において片側性唇顎口蓋裂(UCLP)患者の20~25%は成長終了後に顎矯正外科手術を受けており、成長期におけるより効果的な矯正歯科治療法の開発が求められている。BAMP(Bone-Anchored Maxillary Protraction)は、上下顎骨に埋入したアンカープレートを用いて上顎骨を前方に牽引する方法である。本研究では、上顎骨劣成長による骨格性反対咬合を呈するUCLP患者に対し、思春期性成長期にBAMPによる治療を行い、その整形効果および鼻咽腔閉鎖機能と構音に及ぼす影響を検討する。
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研究実績の概要 |
口唇口蓋裂とは様々な遺伝的・環境的要因により口唇や顎堤、口蓋に裂を生じる先天性疾患である。出生後、口唇形成術・口蓋形成術によって裂は閉鎖されるが、術後の瘢痕によって上顎骨の成長抑制を生じることが多い。多くの医療施設では乳歯列期~混合歯列期に上顎前方牽引装置を用いて骨格的不調和を改善する治療が行われるが、その効果は患者の協力度に依存し、副作用も生ずるため、成長期における新たな治療法の開発が求められている。近年、上下顎骨に埋入したアンカープレートと顎間ゴムを用いて上顎骨を前方に牽引する方法が考案され、BAMPと呼ばれるようになった。この装置は患者の協力も得られやすく、歯性に生じる副作用もほとんど伴わずに骨格的不調和を改善することが可能である。本研究の目的は、口唇口蓋裂を有する骨格性反対咬合の患者に対するBAMPの効果と副作用について明らかにすることである。 本研究は、2020年度末に認定臨床研究審査委員会(国立大学法人東北大学 東北臨床研究審査委員会;東北厚生局)から承認を受けている。2021年6月には東北大学病院から校費負担患者制度の利用についても承認を得ることができた。その後、被験者の候補となる患者への説明を開始し、2023年度までに9名の患者から研究への参加の同意が得られた。内7名はBAMP群として登録し、残り2名はコントロール群として登録した。BAMP群の患者にはアンカープレートを左右の上顎骨頬骨下稜部および下顎骨体部前方に埋入した。アンカープレート埋入2週間後から、上顎骨の前方牽引を開始している。7名中6名の患者で一部のアンカープレートの動揺が生じ、再埋入が必要となった。残念ながら、2022年度中にBAMP群の被験者2名が脱落した。アンカープレートの動揺が原因であり、研究組織内で対策を進めている。 2022年度に本研究のプロトコル論文を国際誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究に参加していただく患者のリクルートが遅れている。対象となる患者の選択基準は、(1) 東北大学病院顎口腔機能治療部に通院する骨格性反対咬合の片側性唇顎口蓋裂患者、(2) 口唇形成術、口蓋形成術、顎裂部骨移植術が行われた者、(3) 手根骨を評価し、思春期性成長ピーク直後であると判断した者:10歳~15 歳(男子:13歳前後、女子:11歳前後(登録時))、とされており、この基準に合致する患者数がそもそも少ないことと、患者あるいは保護者から同意を得られないケースが少なからずあることがその理由と考えている。 また、アンカープレートの動揺による被験者の脱落があり、進捗に大きく影響している。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、被験者(患者)のリクルートが当初の予定通りに進んでいない、アンカープレートの動揺という問題があり、研究の進捗を妨げている。そこで、患者の選択基準を口蓋裂を有する者に拡大し、上顎用のアンカープレートの形態と埋入部位を変えて牽引時にモーメントを生じにくくする予定である。それ以外は、次年度以降も以下の研究計画を大きく変更することなく推進していく。BAMP群の患者には、アンカープレートを左右の上顎骨頬骨下稜部および下顎骨体部前方に埋入する。アンカープレート埋入2週間後から、上顎骨の前方牽引を開始する。牽引開始時は片側150g、牽引開始2週後からは片側200g、牽引開始3か月後からは片側250gで牽引を行う。使用時間は、食事と歯磨き以外終日とし、治療期間は18か月間とする。コントロール群の患者には治療の介入は行わず、観察する。介入前(T0)とBAMP治療18か月後(T1)のタイミングで両群の患者に次の検査を実施し、資料を採得する。1)口腔内写真、顔面写真撮影; 2)上下顎歯列印象採得、咬合採得; 3)口腔内診察、身長測定; 4)X線写真撮影(パノラマX線写真、正面・側面頭部X線規格写真、顎関節パノラマ断層撮影、手部X 線写真); 5)鼻音化率測定; 6)言語評価; 7)顔面軟組織の3Dスキャン。気道を含む顎顔面形態への効果(影響)と安定性を調べるために、正面・側面頭部X線規格写真を分析して、術前・術後の比較や、BAMP群とコントロール群との比較を行う。顔面軟組織の3Dスキャン画像は治療前後のマッチングを行う。鼻咽腔閉鎖機能への影響に関しては、鼻音化率を代用エンドポイントとする。
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