研究課題/領域番号 |
21K10220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田村 文誉 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (60297017)
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研究分担者 |
菊谷 武 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20214744)
水上 美樹 日本歯科大学, 生命歯学部, 医療職員 (60735695)
川嶋 舟 東京農業大学, 農学部, 准教授 (00401711)
高橋 智 日本大学, 文理学部, 教授 (50183059)
田部 絢子 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (70707140)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 食行動 / 口腔機能 / 口腔機能発達不全症 / 摂食 / 感覚運動アプローチ / 食の問題 / 保護者 / 小児 / 哺乳 / 離乳 / 相談 / 育児 / 偏食 / 感覚ー運動アプローチ / 多職種連携 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで、偏食の考え方や指導法には一定の基準がなく、時として誤った対応が繰り返されてきており、従来型の偏食改善のアプローチ法を見直す必要がある。小児期の偏食については、口腔機能の問題でもあるが、これまで行われてきた小児の摂食嚥下リハビリテーションや口腔機能発達不全症の管理だけでは改善効果がみられず、感覚運動系の発達促進が必要不可欠であると考えた。本研究の目的は、作業療法の分野で注目されている感覚-運動アプローチを応用した偏食改善や口腔機能育成アプローチの開発を行い、口腔機能発達不全症の症状である偏食の改善にどのような効果があるかを検証することである。
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研究実績の概要 |
2022年度は、初年度に実施した発達障害児の保護者または当事者への郵送質問紙法調査の結果について、1歳半から小学校入学前までと、小学生以上(18歳まで)の結果について検討し、学会発表を行なった。1歳半から小学校入学前までの結果では、回答者は1269名であった。口腔機能について心配なことがある保護者が7割近く認められた。保育園・幼稚園・こども園に、発達と身体に関する既往例のある子が一定数認められた。全身状態の有無にかかわらず、口腔機能の中では、食行動の問題が最も多く心配事として挙げられていた。継続して医師の診察を受けている小児では、通院していない小児に比べ咀嚼について困っている保護者が多い傾向であった。小学生以上の結果では、回答者は592名で、母親が498名(84.1%)、本人が50名(8.4%)であった。食行動に対する心配事が多く、次に構音が多い傾向であった。構音の困りごとは、支援学級や特別支援学校で多く、保護者が気にしている傾向であった。困りごとに対する相談先がある者の割合と相談したい者の割合が低いため、口腔機能の困りごとのある者に対して必要な支援が届いていないことがうかがわれた。そのため、歯科からは就学先の違いや障害に関わらず、口腔機能発達不全症や摂食機能療法で口腔機能の困りごとを支援し、相談しやすい環境整備も必要であることが考えられた。 アンケートの検討と並行して、感覚運動アプローチを実施した。乗馬療法を用いたプログラムの対象者はダウン症児1名、発達障害児者7名であり、事前事後アンケートと、客観指標として乗馬療法中の自律神経系の変動を測定するMyBeat(ウェアラブル心拍センサ)を用いた測定を行った。また、海洋療法を用いたプログラムでは、対象者はダウン症児1名、発達障害者1名であった。事前事後アンケート、JSI-Rの簡易感覚評価、理学療法士・発達教育学者による評価を含めた食行動の変化を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通り、口腔機能のアンケートは終了し、感覚運動アプローチのプログラムも実施することができた。感覚運動アプローチでは、研究分担者の発達教育学者や、研究協力者の理学療法士と協力して行なうことができ、口腔機能だけでなく心身機能についての評価も行なうことができた。また、プログラムに参加することで、当事者だけでなく家族への良好な効果もみられている。現在、結果について分析中である。 感覚運動アプローチの参加者数については、コロナ禍であったため対面で身体接触の可能性のあるプログラムへの参加勧奨が難しく、データ数を集めることができていない。最終年度で追加のプログラムが可能かどうか、または継続して研究を申請するかを検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、偏食をはじめとした食行動の問題解決のための手法について、歯科、教育、リハビリテーション的視点からの評価・介入指標を作成する予定である。食の問題は心身の発達や養育環境と関係しており個々の特性に応じた対応が必要である。そのためにはより多くの対象者が必要であるが、感覚運動アプローチの参加者数が当初の計画よりは不足している状況にある。最終年度内で追加調査が可能かどうか、時間的な問題もあり、課題である。
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