研究課題
基盤研究(C)
人生の最終段階において特有の条件を持った高齢者の50名の口腔内の状況を収集し、ワークショップ形式の検討会を開催する。ここでは、リスクマネジメント手法を用いてリスクの明確化、リスク分析、リスク評価を行い、リスクに対応する。モニタリングとして、1年間にわたり予後を口腔内の局所の問題、高齢者の生活の質の問題、栄養状態、介護負担度、予期せぬ不快事項の発生などを指標に検証を行う。これにより、想定通りの結果、想定外の結果を収集しリスクの優先順位の見直しや治療方針の変更など、再評価のサイクルを回し、指針のブラッシュアップを行う。これにより、「人生の最終段階に向かう高齢期患者に対する歯科医療指針」を作成する。
高齢者歯科医療の現場における回復の見込みのない患者に対して、どのような治療方針を立案するべきか検討するにあたり、起こりうる全身への損傷や傷害を与えると予想される状況に対して、歯科医療の介入の必要性を明示するDental R-mapを作成した。終末期がん患者に対する口腔管理の実態をまとめた。患者のステージに応じて、歯科治療、摂食支援、口腔衛生管理と介入の内容を変化させていた。終末期に向かって介入頻度が増した。典型的と思われる症例を題材に、ワークショップを開催し検討した。そのなかで、義歯製作にかかわる問題、歯を残すことが引き起こす問題が重要とされ、問題点の抽出を行い指針作成の資料とした。
本邦では、後期高齢者の増加に加えて、これら高齢者の現在歯数が増加している。人生の最終段階に向かう者においては、認知機能や口腔諸器官の運動機能の低下から、咬合の維持や回復は、必ずしも咀嚼機能の維持・向上に繋がらない場合が多い。そればかりか、歯や補綴物が口腔内細菌の温床として存在したり、脱落により誤飲のリスクを持ったり、対顎の歯肉に噛み込んだりといった状態すら多く見受けられる。このため、う蝕や歯周病や歯の欠損に対する咬合の再構築を基本としているこれまでの歯科医療の指針は、人生の最終段階にある高齢者に対しては必ずしも適合しない。本研究では、これらの問題に対する指針作りに一定の情報を提案した。
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