研究課題/領域番号 |
21K10223
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 宝塚医療大学 (2022) 福岡歯科大学 (2021) |
研究代表者 |
埴岡 隆 宝塚医療大学, 保健医療学部, 教授 (00144501)
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研究分担者 |
谷口 奈央 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (60372885)
矢田部 尚子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (80878257)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 禁煙支援 / 受動喫煙 / 歯科医師 / 歯科衛生士 / 加熱式たばこ / レジリエンス / ディスバイオシス / eラーニング / 脱たばこ / トレーニング / 禁煙 / 加熱式タバコ / 禁煙治療 |
研究開始時の研究の概要 |
欧米諸国では歯科での禁煙介入が推奨されてきたが、実際の介入実態は不十分であり禁煙の重要な機会が失われていた。WHOは歯科に禁煙介入を推奨しているが、どのモデルも医科専門家向け介入法の転用である。本研究では歯科領域固有の病理ならびに行動科学を背景とし、日本で急増している加熱式タバコ使用者への対応を含む日本固有の内容モデルを新たに構築し、介入効果と普及性で、より優れたモデルおよびeラーニングを開発することを目的とする。対象者はプライマリケア歯科医療従事者ならびに歯学・歯科衛生教育担当者とし、eラーニングのより効果的な教育・研修方法の改善による歯科禁煙治療の導入・普及の持続を研究開発目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究では歯科禁煙介入のeラーニング方式による教育・研修トレーニングを開発する。また、本研究では、加熱式タバコ流行にも対応する新たな日本独自の禁煙介入方法を開発することを目指しており、デジタルトランスフォーメーション技術を活用し、国民皆健康保険制度ならびに国民皆歯科健診の制度導入への寄与を図る。前年度の研究では、WHO世界保健機関が推奨する簡易5A5R法の歯科診療で有用性が明確になり、歯科病名としてのタバコディスバイオシス症や口臭に焦点をあてたハイブリッド型の動機づけ支援の有用性が明らかとなった。本年度の研究では、口臭に焦点をあてた動機づけ支援の効果について詳細な検討を加えた結果、1カ月以内の禁煙意志の獲得に特異的に有効であることが判明した。また、WHO推奨簡易5A5R法については、卒前臨床教育の6年間の追跡調査の結果を分析したところ、歯科大学および歯科衛生校のそれぞれの課題に対応していることが判明したことから、卒前臨床教育への導入について、特に、オスキー形式の教育を基本としたeラーニング教材の開発に着手することとなった。また、加熱式タバコ使用者が増加しつつあるとともに、燃焼式タバコ使用者の減少が停滞していること、すなわち、加熱式・燃焼式のタバコ併用者が増加していることから、併用者に対応する新たな観点からの対応として、口腔細菌・口腔細胞のタバコレジリエンス低下症に対する禁煙治療に着目した新たな視点からの歯科禁煙介入の教育・研修トレーニングの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
編集中:研究計画では研究期間を概ねⅠ~Ⅲの3期にわけて3年で行う。第Ⅰ期に予定しているeラーニングコンテンツ開発および試用(eラーニングシステム契約を行う)のうち、ニコチン等内容物と口腔微生物の相加・相乗的作用による口腔組織破壊の機序説明、喫煙による歯科領域の健康影響の疫学知見の総括に加えて補充する内容として、口腔粘膜へのニコチンと口腔微生物の相互作用による影響、歯周組織へのニコチンと口腔微生物の相互作用による影響、歯(エナメル質)へのニコチンと口腔微生物の相互作用による影響、歯周病等歯科治療の効果への喫煙継続および禁煙による治癒正常化の説明について整理し、さらに、先述したように口気との関連が新たに発見することができた。eラーニング導入については、基礎編のウェブ学習基盤が整い、サイト契約を待つばかりの状況であり、概ね順調に推移していると言える。一方、専門家との打ち合わせが新型コロナウイルス感染症のため、十分とは言えず、このため、eラーニング契約は次年度に持ち越しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では研究期間を概ねⅠ~Ⅲの3期にわけて1期ずつの3年で完了する予定であった。 第Ⅰ期に予定していたコンテンツ開発の検討はおおむね順調であったが、eラーニング契約が次年度に持ち越しとなった。ところが、次年度では、コンテンツの開発当初に発生した新型コロナ感染症の流行は研究の遂行そのものには影響しなかったが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う生活様式の変化にあわせたタバコ産業の強力なマーケッティング戦略により、想定以上に多くの加熱式タバコ使用者が増えた。一方で、燃焼式タバコ使用者の減少の速度は加速するどころか、大幅に減少していることも判明した。このため、教育コンテンツには、燃焼式タバコ使用、加熱式タバコ使用、両者の併用に対応する必要性がこれまで以上に高まった。したがって、教育コンテンツの内容の検討に遅れが生じた。研究前から、加熱式タバコにも多く含まれるニコチン等内容物と口腔微生物の相加・相乗的作用による口腔組織破壊の機序説明の必要性は、研究計画でも現状を予測し反映しており、また、WHOが推奨する5A5Rの介入法を標準的な介入法として採用することについても、研究の大枠では順調な計画の進展であった。しかしながら、前年度に判明した新たな観点としての口腔細菌・細胞のタバコレジリエンス低下症に対する禁煙治療に着目した歯科禁煙介入の教育・研修トレーニングの教育内容の補正が、加熱式タバコ使用者への介入と燃焼式タバコ使用者への介入のハイブリッド介入には不可欠となったため、第Ⅱ期では、卒前教育の検討は達成したが、卒後研修の教育内容のさらなる検討に遅れが生じ、このことにより、eラーニング契約については、さらに、遅れが生じた。
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