研究課題/領域番号 |
21K10233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
玉井 利代子 奥羽大学, 歯学部, 教授 (90367566)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | Caspase-11 / ウイルス / 真菌 / 非古典的インフラマソーム / 口腔カンジダ症 / Candida albicans / サイトカインストーム / ASC / インフラマソーム / TLR3 / TLR7 / ザイモザン |
研究開始時の研究の概要 |
非古典的インフラマソームで重要な役割を担うカスパーゼ11(caspase-11)の役割について、以下のように全く異なる報告がある。 (1)内毒素の受容体である caspase-11 が欠損したマウスは、生存率が高くなる。(2)Caspase-11 欠損マウスは、外来性のグラム陰性菌またはアスペルギルスに対する抵抗性が著しく低下するので、生体防御に不可欠である。 本研究では、①ウイルス感染症と口腔カンジダ症などの内因感染症における caspase-11 の役割を明らかにして、② caspase-11 の発現を増強または抑制する薬剤の、易感染性宿主における有用性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、①ウイルス感染症と口腔カンジダ症などの内因感染症における caspase-11 の役割を明らかにして、② Caspase-11 の発現を増強または抑制する薬剤の、易感染性宿主における有用性を検討し、高齢者社会における感染症に対する新たな予防法に応用することである。 本年度は、以下の結果を得られた。1.Caspase-11 の発現を増強する薬剤である骨吸収抑制薬ビスフォスフォネート(アレンドロネート)は、ASC 欠損マウスマクロファージ様細胞 RAW264 の IL-1β 放出をわずかに誘導した。さらに、アレンドロネートは、RAW264 細胞の、Toll様受容体 (TLR) 4 リガンドによる IL-1β 放出を著しく増加した。しかしながら、 TLR4 リガンドによる IL-1α、IL-6、および TNF-α の産生における、アレンドロネートによる増加はみられなかった。TLR4 は、SARS-CoV-2 のSタンパクや真菌細胞壁に存在するマンナンを認識する。2.一方、RAW-ASC 細胞(ASC 発現 RAW264.7 細胞)では、TLR4 リガンドによる IL-1α、IL-1β、IL-6、および TNF-α の産生におけるアレンドロネートによる増加がみられた。また、アレンドロネートによって同細胞の pro-caspase-11 の発現は増強したが、活性型 caspase-11 の発現は減弱した。3.さらに caspase-11 欠損 RAW-ASC 細胞においても、TLR4 リガンドによる上記炎症性サイトカイン産生のアレンドロネートによる増加がみられた。4.アレンドロネートによる TLR4 または TLR2 発現の増強はみられなかった。以上の結果は、caspase-11 の不活性化が IL-1α、IL-6、および TNF-α 産生を増加する可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にあるように、TLR4 と caspase-11 についての論文を投稿中である。現在、TLR2 シグナル伝達と caspase-11 について検討している。
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今後の研究の推進方策 |
各種病原体関連分子パターン認識受容体 (PRRs) のシグナル伝達における caspase-11 の役割を探るために、(1)培養細胞またはマウスに擬似新型コロナウイルスを感染させた後、各種 PRRs のリガンドを添加して、下記1)-3)について検討する。1)細胞表面または細胞内タンパク分子の発現変化:病原体関連分子パターン認識受容体や関連分子の発現をフローサイトメトリーまたはウエスタンブロットで検討する。2)活性酸素種(ROS)の検出:ウイルスが誘導する ROS 産生をジヒドロローダミン123とフローサイトメーターで検出する。3)転写因子:活性化して核内に移行した NF-κB, AP-1 等の活性化を ELISA またはウエスタンブロットで検討する。(2)擬似新型コロナウイルスで前処理した caspase-11 欠損細胞または免疫不全マウスに Candida albicans, C. tropicalis, または C. glabrata を感染またはその加熱死菌を投与後、上記1)-3)について野生株細胞と比較する。
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