研究課題/領域番号 |
21K10262
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
|
研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
渡部 茂 明海大学, 保健医療学部, 教授 (60113049)
|
研究分担者 |
荻原 孝 明海大学, 歯学部, 講師 (10705247)
中村 昭博 明海大学, 歯学部, 助教 (20818364)
町谷 亜位子 明海大学, 歯学部, 助教 (30848916)
小口 寛子 明海大学, 歯学部, 助教 (30848982)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 安静時唾液分泌速度 / 生理的嚥下回数 / うまみ味 / 唾液分泌持続効果 / 口腔内唾液量 / 口腔内唾液到達量 / 口腔内部位特異性 / 口腔内pHモニタリング / ステファンカーブ / 口腔内環境 / 口腔内唾液の希釈 / 嚥下回数 / 1回嚥下量 / 小児 |
研究開始時の研究の概要 |
唾液及び唾液の機能は個人差が大きく、十分な唾液の恩恵に浴していない可能性のある人にとっては、生活習慣の良否にかかわらず、口腔疾患の罹患性が高まることが懸念される。また今まで口腔内環境の診断及び予防指導は口腔を「一つの環境」として行われてきているが、口腔環境は各部位によって異なることが明らかにされており、「部位特異的」な診断と予防が求められてきている。本研究では安静時唾液分泌速度、口腔内各部位への唾液到達量及び生理的な嚥下を一区切りとした嚥下直前・直後の口腔内唾液量(口腔内希釈能率)と、各部位でのpH測定、プラーク付着量、エナメル質表層下脱灰程度、齲蝕・歯周病罹患経験との関連を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
①安静時唾液分泌速度と嚥下回数との関係:本研究では,個人の嚥下回数が,口腔環境診断に応用できるか否かの可能性について検討するために,実際にヒトを対象として、被験者15名(21歳~80歳、男5名、女10名)に対して唾液分泌速度と嚥下回数との相関を求めた。方法は被験者の安静時唾液分泌速度を3回、通法に従って測定して平均値を求めた後、安静時のリラックスした状態で生理的な嚥下回数を20分間測定し、1分間の平均値を求めた。その結果、両者は相関係数r=0.86 で正の相関を示した。嚥下回数から唾液分泌速度を推定し、口腔環境を推察することは可能と思われた。 ②うま味刺激による唾液分泌速度、分泌持続時間の促進効果:本研究は唾液分泌速度の遅いヒトと速いヒトに対する味覚刺激の効果について、うま味、甘未、酸味の刺激溶液を用いて検討した。使用した味刺激と濃度はグルタミン酸1.7×10-3M、イノシン酸9.8×10-3M、グアニル酸9.8×1、クエン酸6.5×10-3M、スクロース1.6×10-2Mとした。味溶液をシリンジで3 ml舌下に滴下し、1分毎にアルミカップに唾液を吐き出させて唾液重量を測定し、刺激後初めの安静時唾液分泌速度に戻るまでの刺激持続時間を求めた。その結果、唾液分泌はクエン酸が最も多く、他の味溶液との間に有意差が認められたが、刺激後の唾液分泌持続時間は溶液間に有意な差は認められなかった。また安静時唾液量の少ない群と多い群の唾液分泌速度と持続時間を比べた結果、遅い群はうまみによる唾液分泌量、刺激後の分泌時間が優れていることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
生理的嚥下回数から安静時唾液分泌速度、安静時唾液pHを推定し、臨床において嚥下回数から患者の口腔の状況を診断する方法を確立させることが本研究課題のゴールであり、いくつかの実験を行い、嚥下回数から患者の口腔環境を把握することは可能であることが示された。しかし症例数、再現性試験など今後行わなければならないことが残されており、期間を延長して最終の結論を得たい。 研究が遅れた理由は、コロナ感染不安の影響があり思うように実験ができなかったこと。長時間測定用のpHセンサーが入手できなくなったことなどが影響した。現在は両者とも改善されてきているので、今後の実験はスムーズに進むと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の場が明海大学保健医療学部から、朝日大学歯学部に変わったことで、研究環境としては、実験に費やす時間、人手などよくなると思われる。実験の症例数を増やすこと。安静時唾液分泌速度の遅いヒトから速いヒトまでの口腔内pHの長時間モニタ-を行うことが最後に残されているのでその結果をまとめて、嚥下回数測定から唾液分泌速度、口腔内pH環境を推定する診断方法を確立させる予定である。
|