研究課題/領域番号 |
21K10263
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長尾 由実子 順天堂大学, 医学部, 客員教授 (90227992)
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研究分担者 |
友岡 清秀 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (90804708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 歯科医師 / B型肝炎 / C型肝炎 / 扁平苔癬 / B型肝炎ワクチン / 針刺し・切創 / 院内感染対策 / 肝癌 / HBワクチン / 医科歯科連携 / B型肝炎 / C型肝炎 / 感染対策 |
研究開始時の研究の概要 |
血液を介して感染するHBVやHCVは、歯科医師にとって重要な感染症である。一方、HCVは扁平苔癬等の肝外病変を引き起こすことが知られている。しかし、全国歯科医療従事者における肝炎ウイルス感染の実態は、近年明らかになっていない。国内に潜在する未治療の肝炎ウイルスキャリアを効率的に拾い上げる仕組みが確立されていないことも問題視されている。そこで、本研究では歯科医療従事者を対象にHBVならびにHCV感染の大規模な疫学調査を行い、感染症の現況を把握した上で、疾病に対するHBワクチン応答性の効果と予防対策を図る。さらに臓器相関を応用した口腔扁平苔癬等を介した肝炎の治療勧奨システムの構築をめざす。
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研究実績の概要 |
昨年度までに、大分県では歯科医療従事者のB型およびC型肝炎の職域検診を実施し、50-70歳代の対象者では、HBs抗原とHCV抗体の陽性率が高いことが判明した(Nagao Y, et al, BioMed Rep 14, 2021)。この結果を受けて、教育用冊子を作成し、大分県内487歯科医院に勤務する2,197名の歯科医療従事者に配布し、肝炎とその予防に関する教育を行った。調査はオンラインで実施し、521名の歯科医療従事者(歯科医師228名/歯科医師以外の歯科スタッフ293名)が回答した。本研究は倫理委員会の承認を得た上で実施した。 回答者の99.5%が教育用冊子を有用と感じ、87.3%が今後の肝炎ウイルスの受検意欲に影響を受けたと答えた。全体の61.6%が経皮的外傷(針刺し・切創)を経験していたが、その対処法を十分に理解していた割合は19.4%だった。B型肝炎ワクチンの接種率、過去のB型肝炎ウイルス(HBV)受検率、過去のC型肝炎ウイルス(HCV)受検率は、各々62.4%、71.8%、43.2%だった。B型およびC型肝炎について十分な知識を有する者は10.6%だった。歯科医師を除くスタッフは、歯科医師に比べ、冊子を読む前のHBV/HCV受検率(P<0.0001)、経皮的外傷時の対処法の認識(P<0.0001)、肝炎の認知度(P<0.0001)が有意に低かった。また冊子を読んだ後の教材の理解度(P=0.0227)や他者への肝炎受検勧奨の影響度(P=0.0003)も 歯科医師以外の歯科スタッフのほうが有意に低かった。 教育用冊子は、歯科医療従事者に対して肝炎や経皮的外傷後の措置に関する知識を高め、肝炎の受検意欲を上げる効果につながると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、必要な検体数が確保できず、データ集積が遅れている。研究計画内容の変更はない。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象者の健診データを集積させ、肝炎ウイルスの経年推移を解析する。さらに、歯科医療従事者以外の医療従事者に対して、すでに構築した教育プログラムを用いて肝炎の教育効果を評価する。臨床研究では、肝炎の医科歯科連携に関わる臨床統計を予定している。
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