研究課題/領域番号 |
21K10273
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
竹田 飛鳥 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (70885144)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 歯科医療提供体制 / オンライン診療 / 感染症対策 / アクセシビリティ / 口腔機能管理 / レセプト分析 / オンライン診療アプリ / 新型コロナウイルス感染予防対策 / 新型コロナウイルス感染対策 / 多職種連携 |
研究開始時の研究の概要 |
医療サービスへのアクセシビリティが良く、新型コロナウイルス感染対策としてソーシャルディスタンスも確保できるオンライン診療は、現在、日本で急速に議論が進んでいる。歯科領域ではエビデンスが少なく一般的にイメージがしづらいが、制度上は実施可能であり、事前調査では一定の患者ニーズが確認できている。本研究では、歯科領域のオンライン診療の事例を収集し、疾患別に対面診療とオンライン診療の組み合わせパターン等をシミュレーションした上で、オンライン診療モデルを構築・検証することで、今後の議論の発展に向けた基礎資料を得る。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、国内のオンライン診療は着実に体制が整備されつつある。厚生労働省が平成30年に発行した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が令和5年に一部改訂されたことを受け、歯科領域の指針についても策定に向けて検討が開始された。また、2年前の令和4年診療報酬改定では、医科と比べて歯科はほぼ評価がされなかったが、令和6年改訂では評価が追加された。そこで本年度は国の歯科オンライン診療の動向の整理と、診療報酬改定前の歯科オンライン診療の事例を収集することを目的に、①国の動向に沿った簡易チェックリストの作成、②令和6年診療報酬改定の類型化、③ヒアリング調査、を実施した。なお、本研究では基本的に「Dentist to P」を想定している。 まず、①は令和6年3月に発行された「歯科におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」の整理を行った。本研究で進めてきた方針と同様に、対面診療とオンライン診療のベストミックスを作ることにより、診療の質を向上させることを柱のひとつとしていた。「対象患者」、「対象疾患」、「環境整備」、「その他」の項目に分けて、国の指針等を反映した簡易チェックリストを作成した。 次に、②の令和6年診療報酬改定では、継続的な口腔機能管理を行う患者と新興感染症等の発生時に、対面診療が困難な場合の歯科オンライン診療を評価しており、情報通信機器を用いた場合の初診料と再診料が新しく算定できるようになった。また、「対象疾患」として、舌痛症や三叉神経ニューロパチーが新たに記載された。さらに、口腔がん手術後の経過観察等で歯科遠隔連携診療が新しく評価された。 ③では、昨年度から引き続き歯科オンライン診療に係る事例収集を行い、スマートデバイスを利用した口腔内評価や、多職種連携のためのマニュアル作成の有効性、臨床への応用の課題が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は昨年度に積み残した歯科領域のオンライン診療事例を収集し、対面診療と組み合わせたオンライン診療パターンをシミュレーション、地域で展開できる新しいオンライン診療モデルの構築に向けて準備を行う予定であった。一方で、厚生労働省等による歯科オンライン診療の体制整備が加速したため、国の示した方向性から本研究が大きく逸れることがないように軌道修正を行った。本研究において事例収集を行っていた「対象患者」や「対象疾患」、「環境整備」の参考とするため、新たに令和6年3月に発行された「歯科におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」等を整理して、簡易チェックリストを作成した。あわせて、令和6年診療報酬改定で歯科オンライン診療に係る項目を類型化して、内容の整理を行った。今年度までのヒアリング調査では、診療報酬を算定するためのハードルが高いことが、歯科オンライン診療を実施する上でひとつの壁となっていることが報告されていた。令和6年診療報酬改定で新たに評価されたことにより、歯科医師等の歯科医療従事者のオンライン診療実施に対する意識が、今後大きく変化する可能性が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
歯科オンライン診療の先進的な事例を収集することを目的に、引き続きヒアリング調査を実施する。その際には、歯科におけるオンライン診療の指針が示されたことや、診療報酬改定の影響について、重点的に調査を行う。また文献調査も継続し、米国や英国等の諸外国の歯科オンライン診療の実施状況や個別事例を収集する。これらの収集した事例から一般歯科診療を行う歯科診療所が取り入れやすい例示を選定し、対面診療と組み合わせ可能と考えられるオンライン診療例を作成する。本年度に作成したオンライン診療を実施するための簡易チェックリストをアップデートし、診療の流れを示した参照モデルを構築する。これらの研究成果は、論文や学会等で発表することを予定している。
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