研究課題/領域番号 |
21K10295
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
橘 とも子 国立保健医療科学院, その他部局等, 特任研究員 (40221387)
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研究分担者 |
小林 慎治 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (20423519)
江藤 亜紀子 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (50291125)
佐藤 眞一 千葉県衛生研究所, その他部局等, 技監 (60450920)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | モバイルデバイス / PHR / PROMs / 備え / 災害カルテ / 薬剤アプリ / 利用マニュアル / 在宅医療ケア児/患者 / 在宅患者 / 災害支援プログラム / Webアンケート / 災害健康危機管理 / 情報送受信 / 障害健康分野 / データ活用 / 避難所運営ゲーム(HUG) / 慢性疾病 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、在宅の慢性期傷病等の患者・家族(以下「障害患者家族」とする)といった「個人」の健康セルフマネジメントに対するデータ活用の有用性を、まず検証する。そのために、平常時の発症・増悪アルゴリズムの開発評価を行うとともに、それらの非常時における変化の測定等を測定評価する。それらを通じ、フェーズフリーの備えに必要な事項を探り、データ活用の地域モデル作成等を通じて、「集団」へのデータ活用の有用性検証を行う研究である。
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研究実績の概要 |
[目的本研究は在宅医療ケア児/患者などの健康課題を持つ住民への災害の備えを、地域がフェーズフリーで支援できる体制の実装策を探ることを目的とする。 [方法](1)モバイルデバイスを用いて患者の健康情報を災害時にデータ活用する為の災害時カルテアプリの実装に資するツールの作成検討を行う。(2)患者報告アウトカム尺度(PROMs)に資する具体策の検証を、災害の安全安心講座(全2回)への患者等を含む参加者に対し、講座前後のQOL尺度(GHQ12、SF-12v2)及びPROに関するモバイルデバイスによる回答データの有用性検証を行った[承認番号:NIPH-IBRA#12149]。 [結果](1)成果①アプリ画面設計書、成果②災害時カルテで必要な健康情報項目一覧、成果③利用者向け簡易マニュアルを作成検討した。(2)コロナ禍で調査は1回のみの実施となった。患者41%を含む参加者(n=27)が対象となり、PROの把握と同時に「回答入手には各健康課題の特性に応じた配慮が必要」といった方法論の課題も把握した。 [考察][結果](1)の成果①で作成したアプリを各自のSNSに設定すれば、災害時でも各自の服用薬剤を確認できる「災害おくすり手帳(仮称)」になると思われる。その際に閲覧できる情報は、成果②の「災害時カルテで必要な健康情報項目一覧」とリンクしている。また同アプリの利用方法は、成果③でわかる。これらの本研究成果(1)の①②③のツールがより役に立つ実装策となるには、PHRの普及推進をいっそう図る事が必要だが、本研究の成果の(2)「PROMsに資する具体策の検証」の方法論を用いれば可能ではないか。患者本人が都度入力する手間が省け、個人情報のセキュリティ確保が可能な持続可能性も期待できる為、PHRに適用・検証と併せ、今年度研究成果は、最終年度研究(地域モデル作成)の基礎資料の1つとして反映できると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【研究実績の概要】に記載した[方法](2)の「患者報告アウトカム尺度(PROMs)に資する具体策の検証」では、モバイルデバイスによる回答データの有用性や、PHRの活用推進に資するPROMsに関する検証を進める計画であった。そのために、全2回の講座に併せて実施する全2回の調査を行い、全2回講座の前後でデータ比較を行うことで有用性検証を行う予定であった。だがコロナ禍で、調査は1回のみの実施に留まった。もちろん、調査実施が1回のみであったとはいえ、41%を患者が占める参加者(n=27)に調査実施できたことで、PROMs入手方法についての課題等を具体的に把握することはできた。だが、当初計画していた「全2回講座の前後比較による、モバイルデバイスを用いたデータ活用の有用性や、PHRの活用推進に資するPROMsに関する検証」は、十分に行うことができなかったため、全体の研究計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の【研究実績の概要】における[方法](1)モバイルデバイスを用いて患者の健康情報を災害時にデータ活用するための災害時カルテのアプリケーション(以下「アプリ」)実装に必要な事項の作成検討では、[結果] (1)の成果①「アプリ画面設計書」を用いて作成したアプリを、各自のSNSに設定すれば、 災害時でも各自の服用薬剤を確認できる「災害おくすり手帳(仮称)」となりうる。その際に閲覧できる情報は、医療従事者側で必要な、成果②「災害時カルテで必要な健康情報項目一覧」にリンクしている。また同アプリの利用方法は、成果③「利用者向け簡易マニュアル」にまとめた。これらの本研究における成果(1)の①②③を活用するには、PHRの普及推進をいっそう図る事が必要だが、本研究の成果の(2)「PROMsに資する具体策の検証」の方法論を用いれば、 医療に研究者等が連携協力する事でPHRの普及に繋がるのではないか。 PHRが普及すれば当該の「災害おくすり手帳(仮称)」に薬剤データが連結される為、患者本人が都度入力する手間が省けるだけでなく、服薬管理における有効性や安全性も期待できる。さらに手帳は患者本人同意の者のみ閲覧可能な為、個人情報保護の点でもセキュリティの保たれたシステムが期待できる。以上の令和4年度研究成果を基礎資料の1つとして、研究最終年度の「地域モデル作成」に情報フォーマットとして反映できるよう今後の検証研究や普及を推進する。とくに地域の在宅難病ケア児/者への災害への備えとして、今回の令和4年度研究成果を地域モデルに取り込むことができれば、地域生活の支援者が、患者本人の同意のもと服薬管理情報を閲覧でき、より正確で的確な備えを地域では期待できると考える。フォーカスグループによる可用性・有用性の検証を併せつつ、今後フェーズフリーの地域モデルへの寄与をめざしたい。
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