研究課題/領域番号 |
21K10312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
岸本 桂子 昭和大学, 薬学部, 教授 (50458866)
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研究分担者 |
櫻井 秀彦 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (70326560)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 質的研究 / 高血圧 / 2型糖尿病 / インタビュー調査 / 薬剤師と患者の対話 / 情報伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、薬局における慢性疾患患者から薬剤師への情報伝達の阻害・促進に関連する疾患・薬物療法に対する患者の思いや、薬剤師の問いかけに対する患者の感情や反応を解明し、実証研究を行い、患者が応対しやすい問いかけや手順を立案する。薬局薬剤師の業務が対物から対人への転換が求められるなか、薬局薬剤師と患者の双方向的な情報提供促進に繋がるエビデンスに基づく具体的な方法を提示し、薬物治療の安全性向上に寄与すること目指す。
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研究実績の概要 |
先行研究レビューの結果に基づき、高血圧症または2型糖尿病患者が診断されてから現在に至るまでどのように自分の病気を位置付け、医療者に対してどのような役割を求めているのかを明らかにすることを目的としたインタビュー調査「生活習慣病の壮年期患者を対象とした薬物療法に関する質的研究」を実施した。慢性疾患における薬物治療は長期に渡るため患者の病気の受け止め方や薬物治療に取り組む姿勢は常に一定とは限らず、流動的に変化していくと考えられる。よって医療者はこの患者の変化に応じた配慮を行っていく必要がある。インタビュー調査による質的な分析により、生活習慣病の個別の疾患について患者の薬物療法に対する思いや感情、薬局薬剤師の問いかけに対する患者の感情や反応を明らかにすることで、薬局における薬剤師と生活習慣病患者の双方向的な情報授受促進に関連する対話構造の解明され、薬局にて患者から収集できる情報の量や質の増加、ひいては薬物療法の効率化や安全性の向上に繋がると考える。 2022年6月に、早期の重症化予防の観点から壮年期を対象とし、高血圧患者15名、2型糖尿病患者5名に対してインタビュ調査を行い、質的分析によりラベル(概念)の生成を行った。高血圧患者では、「高血圧と合併症の関連性への関心」「薬物治療を行うことの肯定」「服薬の必要のない状況への意欲」「薬物治療への諦め」「血圧値の軽視」「体重の減量への高い意欲」などのラベルが生成された。2型糖尿病患者では、「糖尿病の軽視」「他人事な認識」「皮膚に針を刺されることへの強い嫌悪」「薬物治療は手段と認識」「検査値の正常化という治療目標」「合併症の知識を活かせていない状態」などのラベルが生成された。現在は、医師に診断され薬物治療や習慣改善の経時的変化をTEM(複線径路等至モデル)による記述を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高血圧患者15名、2型糖尿病患者5名のインタビューデータの質的分析に想定よりも時間を要している。また、2022年度に実施を予定していた「薬剤師と患者の対話の非参与観察」は、新型コロナ感染症が終息しない状況が続き、2023年5月に5類に移行するタイミングでの実施となってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
「薬剤師と患者の対話の非参与観察」は2023年6月から実施できるよう、既に倫理審査申請書類を提出済みである。当初は薬局における薬剤師と患者の対話の録音のみを予定していたが、アイトラッカーを測定に用いることが可能となったため、患者の視線についてもデータ収集することとなった。 また2023年に実施を予定している「動画を介入刺激とする患者対象web調査(薬局薬剤師の問いかけに対する患者の感情や反応の評価)」は、「生活習慣病の壮年期患者を対象とした薬物療法に関する質的研究」の分析結果がまとまってきたため、8月に倫理委員会への書類を提出し、9月から着手できるよう準備を進める。
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