研究課題/領域番号 |
21K10342
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
中田 はる佳 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 研究員 (10592248)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 研究倫理 / 患者・市民参画 / クラウドファンディング / PPI / 研究資金 |
研究開始時の研究の概要 |
既存の治療法が尽きた患者が「最後の砦」として研究開発段階の治療を試す際、自費で利用する場合と臨床試験に参加する場合とがある。前者では、患者個人の費用負担が、後者では、研究開発資金の調達が課題となる。これら課題解決の一手段として、国内外でクラウドファンディングが活用され始めている(メディカルクラウドファンディング:MFCとする)。MFCは、医療分野への患者・市民参画を促進する可能性などの利点がある一方、様々な倫理的課題が指摘される。本研究では、国内外のMFCの実態を調査し、国際比較をふまえて倫理的・社会的課題を検討する。また、MFCが医療への患者・市民参画の一形態となる可能性を検討する。
|
研究実績の概要 |
Medical crowdfunding, Crowdfunding(以下CFとする), Ethicsなどのキーワードで文献調査を継続した。主な課題として、不平等が生じること、患者本人の自律的な意思決定が阻害される恐れがあること、科学に確立されていない治療へのアクセスを助長すること、患者や家族のプライバシー侵害につながる恐れがあることなどが指摘された。国外の文献の特徴として、「個人」の治療に関連する検討が目立つことが指摘できる。すなわち、個人の治療費をCFで集めること(personal campaignなどと分類されていることがある)が広く行われている様子がうかがえた。他方、現時点では、国内のCFプラットフォームでは個人の治療費を集めるプロジェクトはあまり見当たらず、海外渡航移植の募金窓口としてCFが用いられている程度である。国ごとの医療制度の違いなどを考慮すると一概に比較することは困難だが、背景の一つとして、国内外のCFの利用規約やガイドラインを調査した(継続中)。これらの中には、プロジェクトの目的の妥当性の審査があることを定めるものや、「禁止プロジェクト」を設けているものもあった。また、特定の個人に偏りすぎるプロジェクトや個人の治療費を集めるプロジェクトを掲載する際には別途条件を課すことがあるなどの規定を設けているプラットフォームもあった。また、近年では、医学研究をはじめとする様々な研究の研究資金をCF経由で調達する例も見られ、研究者の研究資金調達に特化したCFプラットフォームもある。研究の科学的妥当性をどう担保するか、優先順位をどう考えるかといった点がCFを介した支援者に託されているかについて今後引き続きの検討が必要であろう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた作業を継続しつつ、CFプラットフォームの利用規約の調査を加えたため作業量が増加した。CFと倫理に関する文献調査は、おおむね終了し、随時文献リストを更新している状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度の取り組みを継続しつつ、CFプラットフォームの利用規約の整理を進める。国外の利用規約の調査に当たっては、翻訳サービスを適宜利用するなどして作業の効率化に努める。また、最終年度であることを考慮し、成果のまとめを見据えて作業を行う。
|