研究課題/領域番号 |
21K10347
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野島 正寛 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00457699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 特定健診 / 特定保健指導 / 行動変容ステージ / メタボリックシンドローム / ビッグデータ |
研究開始時の研究の概要 |
「特定健診・特定保健指導」は、前者でメタボリックシンドロームやその予備群を抽出し、後者で積極的な行動変容を促すことで、各関連指標および検査値の改善を目指すものである。こうした健診事業の効果測定や評価は国内外で行われているが、総じて有効性を積極的に示す結果となっていない。しかし、保健指導を含む健診プログラムの効率を高めるには、参加者全体の評価だけでなく、指導効果の高いサブグループを見出すという視点も必要である。本研究では、匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データベース(NDB)を利用し、統計学的検討により同事業の多面的評価を行う。
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研究実績の概要 |
当該科研費取得に基づき利用申請を行っていた厚生労働省NDBデータベースの特定健診、特定保健指導情報の受領が2022年12月に完了し、現在、統計解析作業を開始している。データ取得が当初予定より著しく遅れたが、この点については、コロナ禍等の影響のため同省もしくは業務委託機関での手続きが長期化したとの報告を受けていた。現在、R言語を利用したデータのインポート作業を終了し、特定保健指導実施の有無によるメタボリックシンドローム関連検査値の変動を確認している。現在のところ、収縮期・拡張期血圧、中性脂肪、HDL/LDLコレステロール、肝機能検査値など様々な検査値の改善が示唆されている。データは100万人以上の規模となっており、複雑なサブグループ解析も十分に実施可能と期待されるため、健診受診の効果が高い層の特定などを試みる。 また、昨年度に引き続き、神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センターとの共同研究を継続しており、神奈川県の国保データベース(KDB)から抽出された特定健診に関するデータを分析している。解析対象となるデータは2016-2018年度の特定健診を継続受診している健診受診者で、現在、既報(Takadaら、J Epidemiol 2022)に基づき、生活習慣の改善意欲を示す行動変容ステージ(無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期)で群分けを行い、各健診項目の経年変化等の比較検討などを行っている。また、一般線形モデルにより、年齢やBMI、検査値等のベースライン値を調整した場合の特定保健指導の効果の検討を進めており、NDBでの検討と同様、検査値の改善が示唆されている。今年度は、論文化を目標に解析結果の取りまとめを行う予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該科研費取得を受け、予定していた厚生労働省NDBデータベースのデータ利用申請を速やかに行ったが、コロナ禍等の影響のため同省および業務委託機関での手続きが長期化し、データ取得が著しく遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年中頃までに厚生労働省NDB、神奈川県国保KDBデータ、双方の結果を取りまとめ、論文投稿を行うことを目標としている。いずれも、行動変容ステージ(無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期)で群分けし、各健診項目の経年変化を比較分析した後、マルチレベルモデル(Multilevel model; MLM)/混合モデルを用いて各群における保健指導の効果を評価し、パラメータによる調整などを行う。現在、厚生労働省NDBデータの明らかな誤記修正や研究対象症例の確定等のデータクリーニング、項目のカテゴリ化を行い、各項目から誘導する変数の検討を進めている。データセットを固定した後、特定健診対象集団の特性の分析を行う。さらに、保健指導の対象集団を部分集団に分けて各部分集団の特性を分析、行動変容ステージの変化と関連する要因の推定、行動変容ステージの経年分析を行う予定である。
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