研究課題/領域番号 |
21K10356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安藤 崇之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30850705)
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研究分担者 |
新井 康通 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20255467)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 多疾患併存 / ケアの分断 / ポリファーマシー / 高齢者の潜在的不適切処方 / 医療費 / 主観的健康観 / 人生満足度 / 多併存疾患 / ポリドクター / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、川崎市と慶應義塾大学が合同で行っている85-89歳の介護を要しない1000名の高齢者のコホート研究(川崎ウェルビーイング研究)に参加して、多併存疾患が高齢者の生活機能に影響していく過程を前向きに明らかにする。参加者の診察、測定データと医療レセプト情報を組み合わせた多角的な解析を行い、日常生活機能低下および新規要介護申請を主要アウトカムとして、多併存疾患、ポリファーマシー、ポリドクターがどのような影響を与えているかを患者QOLおよび医療経済学的視点から明らかにする。
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研究実績の概要 |
川崎エイジング&ウェルビーイングプロジェクト(KAWP)のコホート調査で行ったデータと医療レセプトデータを用いて「ケアの分断」が及ぼす影響について検討を行った。ケアの分断の指標として、医療レセプトデータベースから医療機関の通院状況を調べた。自立した高齢者集団でも半数以上でケアの分断が起こっていることが明らかになった。ケアの分断の指標を作成し、ケアの分断と外来医療費やポリファーマシーの発生との関連を明らかにした。実際にケアの分断の程度が高いこととポリファーマシーや高齢者への潜在的不適切処方が多いことに有意な関連を認めた。この関係性は併存疾患数で調整しても有意な関連であった。また、ケアの分断が起こっている人ほど外来医療費が高い傾向にあった。現在は、主たる予後の指標として死亡率に関してのケアの分断の影響を解析中である。また、併存疾患の種類によってケアの分断の起こりやすさに違いがあることが明らかになり、ケアの分断の背景因子について探索的研究を行っている。
また、新型コロナウイルス感染症の蔓延により高齢者の健康や受療行動に大きな変化があった。その一つとして季節性インフルエンザワクチン接種をテーマに挙げ研究を行った。市町村ごとに高齢者の季節性インフルエンザワクチンの費用助成額に差があることが明らかになった。また、その差が実際の接種率やインフルエンザの死亡率に影響を与えたかをオープンデータを用いて検討し、現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴いコホート研究の開始3年後調査が延期されたり、参加者が減少したりと影響を受けている。代替策として、医療・介護レセプトデータベースを用いて解析を行っているが、医療介護レセプトデータの入手に時間がかかったため予定よりも解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はケアの分断が死亡率に与える影響について明らかにする。また、ケアの分断が起こりやすい疾患や患者背景についても明らかにする。そのうえで、ケアの分断が起こってからポリファーマシーや不適切処方などとどう関連しながら患者の死亡や要介護状態に影響していくのかを明らかにする。そのためには介護レセプトデータの整備が必要であり、こちらに関しても時間を要する見込みである。 本研究で主にデータを用いているKWAPでは、元気な自立した高齢者を対象としているため一般化可能性に限界がある。そのため、今後は大規模レセプトデータベースなどを入手し、一般高齢者集団においても同様の傾向があるのか明らかにするためにデータセットの入手や研究計画の策定を行っていく。大規模データベースにはNDBなどもあるが入手や設備を整えるハードルが高いため、大学内の関連する研究室との連携を模索している。
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