研究課題/領域番号 |
21K10360
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
鈴木 みづほ 東海大学, 医学部, 助教 (00845521)
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研究分担者 |
竹下 啓 東海大学, 医学部, 教授 (10276248)
大貫 優子 東海大学, 医学部, 准教授 (20384927)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 診療情報 / アクセス制限 / 遺伝情報 / 機微情報 / 電子カルテシステム / プライバシー権 / 二次利用 / 医療情報 / 電子カルテ / 医療情報の多様化 / 診療記録管理 / 遺伝子差別 / 遺伝子例外主義 / ゲノム医療 |
研究開始時の研究の概要 |
応募者らは、日本の医療機関の診療情報の中で遺伝情報が特別管理されている実態を明らかにした。その理由として、遺伝情報の万が一の情報漏洩による不利益から患者を守るという医療者側の認識が考えられたが、患者や一般市民が診療記録の管理についてどのような認識を抱いているのかは十分な知見が存在しない。 本研究では、医療機関で収集される個人情報の中で、患者と市民が、どのような情報項目について特に機微性が高いと認識し、その取り扱いに対してどのような期待を抱いているのかを明らかにする。 さらに、医療者との乖離も調査し、患者・市民と医療者の価値観に基づいた診療記録管理を行うための提言を作成する。
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研究実績の概要 |
2020年に筆者らが日本全国の臨床研修指定病院を対象に調査を行ったところ、遺伝情報、コロナウイルス等の特定の感染症(COVID-19,HIV)、心理カウンセリング記録など、特定の項目について電子カルテのアクセス制限を実施している医療施設が半数以上あることが報告された。 そこで、2021年、通常の医療情報とは異なる管理が必要な医療情報を「特別な医療情報」と定義し、診療情報管理士がどのような情報項目を「特別な医療情報」と考えるか、半構造化インタビューを実施した。結論として、さまざまな手法でどの施設もアクセス制限を利用していた。その背景には不正閲覧、モラル教育の不足、病院システム上の課題が関与していた。しかし結局、どの医療情報が「秘匿性の高い情報」なのか、「秘匿性の高い情報」と判断された場合にアクセス制限をかけるべきなのかについて、共通認識は得られていない。 このように総合病院や大学病院などにおける医療情報の中にも、機微な医療情報の管理のあり方は多様であり、医療従事者側が主体となって機微な情報にアクセス制限を実施しているという実態を先行研究で得てきた。 市民や患者の感覚を調査するために、がん罹患患者約1000名を対象に、医療機関で収集する機微情報をどの程度機微と感じ、どのような診療情報の管理を望むのか、2023年度探索的にアンケートを行った。この結果は現在データ集計中である。 医療者と患者・市民の機微感覚を分析、検討することにより、市民・患者にとって望ましい医療情報の管理のあり方を提言することを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に新型コロナパンデミックの影響を受けており、診療情報管理士に対する機微な医療情報について問うインタビュー調査は秘匿性も相まって難航した。またその後に市民に対する調査を直接本調査をするのではなく、一旦予備調査を行ってアンケート調査用紙の大幅な修正を試み、市民・患者に対するアンケート調査用紙の新たな作成と倫理申請を経て本調査を行ったため、全体として遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度”医療機関で収集する機微情報をどの程度機微と感じ、どのような診療情報の管理を望むのか”について、がん患者約1000名を対象に調査が行われたため、現在そのアンケート調査のデータ解析中である。調査結果として1079名のがん患者より「医療施設で得られる機微情報に関する意識と望ましい情報管理について」のデータを得ることができた。今後はその解析を進めつつ、また医療者との認識の違いを知るべく同様のアンケート調査を医療者対象に実施予定である。 研究対象者となる医療者については医師と看護師について前調査と同数(約1000名)を対象に行い、情報解析を行なった上で診療記録の情報項目におけるアクセス制限と管理・利活用の在り方についての提言を作成する。
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