研究課題
基盤研究(C)
本研究はWeb調査法を用いて、医療介入に対する乳癌患者の経済毒性をComprehensive Score for Financial Toxicity Toolを用いて定量的に評価する。さらに選好に基づく尺度であるEuroQOL 5 dimensions 5-level(EQ-5D-5L)を用いたQOL値の測定および、患者の乳癌の病状、社会的背景、受療行動、治療選択肢の意思決定の詳細も同時に調査する。これらを分析することで経済毒性のリスク因子を明らかにするとともに、経済毒性のGradeと患者の受療行動、治療選択への意思決定について影響を分析し、経済毒性が患者の生存に与える影響について解明する。
本研究は、わが国で乳癌治療を経験した患者を対象とし、Web調査手法を用いて医療介入に対する経済毒性とQOLを検証する横断的前向き観察研究である。本研究は、①医療的介入に対する患者の経済的負担の実態を「経済毒性」と定義して明らかにする、②経済毒性のリスク因子を明らかにする、③経済毒性が患者のQOLに与える影響を明らかにする、④経済毒性が乳癌患者の受療行動や意思決定に与える影響を明らかにすることの4点を目的とした研究である。申請者はWeb調査システム上に、医療的介入に対する乳癌患者の経済毒性をComprehensive Score for Financial Toxicity (COST) Toolを用いて定量的に評価するための評価表を構築した。国立がん研究センター東病院研究倫理委員会にて審査を行い、2021年4月23日付けで承認を得た。予定通りWeb調査を行い、最終的に1558例を登録した。客観的FTはかかった医療費が世帯収入の20%を超える場合を経済毒性あり、また主観的FTはCOST尺度のGrade1-3を経済毒性ありと定義して、客観的・主観的の両面からFTの有病率の差を検討した。客観的FTは1558例中271例(17.4%)でFTありと評価された。また主観的FTは有効回答1552例中1020例(65.7%)でFTありと評価された。経済毒性は客観的FTと主観的FTで有病率におおきな乖離があることが分かった。今回検討に用いた定義は、いずれも米国で一般的に用いられているものである。米国とは医療提供体制、公的医療保険を含む社会保障制度が異なるわが国においてFTを検討する際には、わが国の現状に合ったFTの定義を検討する必要性がある事が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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