研究課題/領域番号 |
21K10368
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高嶋 泰之 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50706562)
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研究分担者 |
本間 真人 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90199589)
土岐 浩介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90620881)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | DOAC / ダビガトラン / 大規模臨床試験 / 出血イベント / 出血 / 患者背景 / PBPKモデル / 副作用 |
研究開始時の研究の概要 |
薬事承認取得のために実施される大規模臨床試験は、安全性等を考慮し、多くの選択基準と除外基準が設定されている。一方で、実臨床では、それらの基準を満たさない患者も投与対象となり、発売後に予測できない重篤な副作用が発生することがある。実際に、直接経口抗凝固薬(DOAC)であるダビガトランは、発売直後、重篤な出血による死亡例が発生した。 本研究では、当院のDOACの使用実態を調査し、大規模臨床試験と実臨床の患者背景の乖離が、副作用に及ぼす影響を明らかにする。さらに、PBPKモデル解析プラットフォームを用いて血中薬物濃度モデルを作成し、患者背景の違いによる血中薬物濃度と副作用との関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、直接経口抗凝固薬(DOAC)の当院の実臨床データを後方視的に調査し、副作用予測因子と薬物血中濃度との関係を明らかにすることである。 ダビガトランエテキシラート(DE)の実臨床データを後方視的に調査し、承認申請資料として使用された大規模臨床試験(RE-LY試験)の患者集団との違い、副作用の発現状況について調査した。 昨年度から1年分患者データ数を増やし、2014年4月~2022年3月にDEブリッジを行った患者223名(DEB群)とそれ以外の方法でDEを投与したABL患者436名(non-DEB群)を対象に、DE投与による出血リスクと、RE-LY試験の適格基準との関連を検討した。 DEB群は、non-DEB群と比較して平均年齢が高く(67.2 vs. 62.7歳)、CHADS2スコア0-1の割合が低く(63.2 vs. 78.9%)、選択基準に合致した割合は高い(51.2 vs. 41.5%)傾向であった。DEB群のDE投与量(3.51mg/kg/日)は、non-DEB群と同等であったが、投与期間(中央値)は、non-DEB群よりも短かった(3 vs. 233日)。DEB群の大出血の割合は、non-DEB群より低かった(1.3 vs. 3.2%)が、小出血は逆に高かった(16.1 vs.11.2%)。RE-LY試験の除外基準(ABL以外)に該当したDEブリッジ群18名のうち4名に出血事象がみられた。除外基準のうち、特に出血リスクの背景要因に該当したDEB患者(7名)のうち1名に出血事象がみられた。 DEB患者は、non-DEB患者と比較してDE投与による大出血の発現リスクは低いが、RE-LY試験の出血リスクに関する除外基準は、DEによる出血事象の発現予測にも適用できると考えられた。除外基準以外の出血イベントに関わる要因については更に検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大規模臨床試験(RE-LY試験)の適格基準の該当性を確認するためには、患者データ数を増やす必要があり、予定より時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
ABL周術期にDEを投与している患者において、出血リスク要因と出血イベントとの関連を評価する。特にP糖蛋白阻害薬の併用と出血イベント発生の影響について特定する。 さらに、当該データを用いて、生物学的薬物動態学(PBPK)モデル解析を行い、患者背景の違いによる薬物血中濃度と薬効・副作用との関係を明らかにする。
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