研究課題/領域番号 |
21K10373
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
兼児 敏浩 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (30362346)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ヨード造影剤 / アナフィラキシー / 医療安全 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、三重地域圏統合型医療情報データベース (Mie-LIP DB)の利活用により、ヨード造影剤によるアナフィラキシーの発生頻度や経過、予防対策の効果などを客観的に大量かつ経時的に把握することが可能である。これらの情報の検討・分析からヨード造影剤の安全使用に係る提言に繋げることが可能と考える。
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研究実績の概要 |
三重県内の9つの医療施設が参加する三重地域圏統合型医療情報データベース(以下、Mie-LIP DB)を活用したヨード造影剤の安全使用推進にかかる研究を遂行中であったが、Mie-LIP DBの利活用が困難な状況となったので既存の医療安全に係る情報も加えて研究を継続することとした。 そのような状況の中で、免疫チェックポイント阻害剤(以下ICI)を使用した患者が、重篤なヨード造影剤アレルギーを発症した事例に遭遇した。当該患者はヨード造影剤は初回使用ではなかった。理論的にも、ICIは免疫を活性化することからその使用によって、ヨード造影剤アレルギーの発症のリスクが高くなると考えられる。そこで、われわれは、2023年10月の時点で収集検討が可能であった2018年4月から2023年3月までの5年間に、3種類のICIの投与歴がある患者のヨード造影剤アレルギーの発症状況を調査した。 5年間で、オプチーボ 283事例、キイトルーダ 262事例、 ヤーボイ 64事例、オプジーボ+ヤーボイ 61事例のICI使用患者にヨード造影剤が使用された。その結果、オプチーボ 12事例(うち2事例重篤)・4.2%、キイトルーダ 10事例(重篤なし)・3.8%、ヤーボイ 4事例(重篤なし)6.3%、オプジーボ+ヤーボイ 4事例(重篤なし)・6.6%であり、総数で、524事例中、19事例(3.6%)に副作用が発生し、重篤事例はポジ―ボ単独投与の2事例(0.38%)であった。 同時期のICIの投与歴のない患者の重篤なヨード造影剤アレルギー発症率は57,298事例中18事例の0.031%であり、現在詳細を解析中であるが、単純なオッズ比では、12倍以上、ICIの投与歴は重篤なヨード造影剤アレルギーの発症率を高めた可能性がある。今後さらなる症例の集積と解析が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初はMie-LIP DBを活用して三重県内の5施設以上からヨード造影剤アレルギーに係るデータを収集解析する予定であったが、本DBを継続して活用することが困難であることが判明し研究方法を大きく変えざるを得ない状況となったため、以下のように研究を進めることとした。 活用するデータは、本DBから抽出に成功しているデータに加え、三重大病院内においては、インシデントレポート、医療用データウェアハウスシステム:CLISTA!(以下クリスタ)等から抽出したデータ、他施設においては通常の医療活動から得られるデータとした。 以上のような状況であるので、研究の進捗は大きく遅れ、研究期間の延長の申請に至っている。研究材料は異なってもヨード造影剤アレルギーの安全使用推進にかかる研究の継続は可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
Mie-LIP DBのさらなる利活用が困難な状況となったので、ヨード造影剤アレルギーの発症状況を網羅的にかつ多施設で把握ることが非常に困難となった。しかしながら、上述したような手段により、ヨード造影剤アレルギーとICIとの関係をさらに深掘りし、他の施設の状況、ICIの種類や使用頻度との関連等についても調査検討していく予定である。
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