研究課題/領域番号 |
21K10375
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大橋 範子 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 特任助教(常勤) (50739430)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ゲノム・遺伝子解析 / 偶発的所見 / 二次的所見 / 非医学的対処可能性 / ELSI / 対処可能性 / ゲノム・遺伝情報 |
研究開始時の研究の概要 |
網羅的なゲノム・遺伝子解析の普及とともに、研究や医療の「本来の目的」を超えて判明する偶発的所見(IF)・二次的所見(SF)の取り扱いが新たな課題として浮かび上がってきた。 この課題に対する従来の研究は、IF・SFの返却の是非、返却に関する方針検討の際の留意事項、返却の実施に必要な体制、返却の判断基準となる「医学的対処可能性」といった観点からのものが主であった。 本研究は、これまでほとんど論じられなかった「非医学的対処可能性」(「人生設計上の対処可能性」・「第三者・社会にとっての対処可能性」)を対象とし、これらの問題が抱える複雑な論点を整理して、返却の是非・可否、規制の可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
現在、研究・医療・ビジネスの各領域で網羅的なゲノム・遺伝子解析の普及が進んでいるが、網羅的な解析を行うと、解析の本来の目的を超えた「偶発的所見」「二次的所見」が判明することがある。ゲノム・遺伝子解析の結果判明するこうした所見は遺伝情報であるため、結果の返却をめぐる議論が盛んに繰り広げられてきた。ただ、従来議論されたのは医学的対処可能性の観点からの返却の可否判断であり、人生設計上の利益等非医学的観点からの利益(対処可能性)についてはほとんど検討されてこなかった。 本研究は、この非医学的対処可能性を対象としており、海外も含めた議論の動向や、研究に関連した遺伝情報の取り扱いについての規制状況等の調査を行っている、 令和5年度は後述する理由により、研究の進捗に大きな遅れが生じたが、令和4年度に実施した、非医学的対処可能性やそれに基づく遺伝情報の返却に関する一般市民対象の意識調査の分析を中心に行った。この調査結果および主に欧米の文献調査などから、これまで「人生設計上の利益」「第三者・社会の安全」という2つの観点から検討していた「非医学的対処可能性」について、より精緻に議論を進めていくには、非医学的対処可能性・非医学的利益を、「診断オデッセイの回避」「自己理解・自己認識」「ソーシャルサポート」等に結びつくといった、より細分化された観点からの検討が必要であると考えるに至った。 そこで、これらの観点ごとに論点を抽出・整理し、結果返却の際に課題となる、非医学的対処可能性の評価方法(特に、「人生設計上の利益」などでは、個人の価値観・背景事情など主観的・個別的なものをどのように評価するのかという問題があり、医学的対処可能性よりさらに困難である)、インフォ―ムド・コンセントのあり方について研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和5年度は2回の異動等の影響で、当初の研究計画を実施することが困難となり、進捗に大きな遅れが生じた。その結果、予定していた海外・国内での学会発表は行うことができなかった。ただし、令和4年度に実施した、非医学的対処可能性やそれに基づく遺伝情報の返却に関する一般市民対象の意識調査の分析については、ほぼ順調に進んでおり、この調査結果や海外の議論状況の研究から、従来「非医学的対処可能性」を「人生設計上の利益」「第三者・社会の安全」という2つの観点から把握していたところ、さらに「診断オデッセイの回避」「自己理解・自己認識」「ソーシャルサポート」といった観点からの非医学的利益についても検討すべきことが示唆され、研究をより精緻化・深化させていく方向性も見いだせた。 令和5年度が本来の最終年度であったが、上記理由により科学研究費助成事業補助事業の期間延長が承認されたので、本年度の研究で得られた方向性も取り込むことで、令和6年度の研究では、進捗の挽回とともに研究内容の充実も図れると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の進展に伴い、「非医学的対処可能性」について、「診断オデッセイの回避」等、当初掲げていた2つの観点(「人生設計上の利益」「第三者・社会の安全」)以外の観点から把握したほうが適切な非医学的対処可能性の存在が明らかになった。 そのため、令和5年度はこれらの新たな観点の可能性も含めて検討し、それぞれの論点を抽出し、対処可能性の評価方法、インフォ―ムド・コンセントのあり方について検討を始めたが、今後はそれらの検討を継続するとともに、非医学的対処可能性の分類法についてさらに洗練された形で示すことを目指す。 令和4年度に実施した、非医学的対処可能性やそれに基づく遺伝情報の返却に関する一般市民対象の意識調査について、調査結果および分析結果を学会発表するとともに論文化する予定である。 上記の他、海外の議論の動向、法的・倫理的規制状況の調査は引き続き実施し、これらの研究成果についてもまとめて、論文・報告書等の形で広く発信したいと考えている
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