研究課題/領域番号 |
21K10376
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
板井 孝一郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70347053)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 臨床倫理コンサルテーション / 臨床倫理サポート / 臨床倫理コンサルタント / 患者安全 / 医療安全 / コンピテンシー / 倫理コンサルタント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、実効性のある臨床倫理サポート体制の確立のために、特に倫理コンサルタントに期待される役割とその資質(コンピテンシー)について、病院組織としての医療安全管理業務の観点からも明確にすることを目的とし、各施設において倫理支援活動を実践している医療者を対象に、実際の倫理相談事例にどのように対応しているかに関する自記式アンケート、半構成的インタビュー調査を行い、本邦の倫理コンサルテーションを担う人材において必要とされる「知識・スキル・態度」を、米国・英国と比較対照しながら調査し、無危害倫理原則を基盤とする「患者安全」を推進する医療安全管理業務との関係性を解明する。
|
研究実績の概要 |
令和3年度の調査を受けて、「個人レベルで身に着け改善することが可能な知識knowledge・技術skills・態度attitudes」について、米国ならびに英国における「コア・コンピテンシー」と対比しながら、特に3番目の「態度」にフォーカスした探索を行った。ASBHの報告書第2版では、当初第1版の3番目が「性格character」となっていたことをめぐって、第2版作成タスクフォース・メンバーのあいだでも「倫理コンサルテーションに関連する用語としては、問題点の多い用語選択」であるとの見解が示され、コンピテンシーとは本来「安定的に好業績を達成している人材に共通して観察される行動特性」であるため、「観察可能な行動のセット、ある特定の行動において内面化された傾向性や、その人材にとってより基本的な構成要素」であることを表現するには相応しくなく、特に初版の「性格」という表記では、まるで個人が生まれ持った特質のために育成もトレーニングもできないものであるかのような誤解を与えること等から、「特性、態度、行動Attributes, Attitudes, and Behaviors」と改められるに至っていたことが確認できた。英国においても「個人的な性格、態度personal characteristics, attitudes」と記されており、確かにcharacterに相当する表現は残っているものの、「行動特性」という意味合いのあるattitudesが併記されており、英国では米国になかった「公正さ、自己認識、反照反証的姿勢fair mindedness, self-knowledge, reflection」といった「自己を客観視する論理的思考力」がより明確化されているところに特徴があることも明確になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ情勢を踏まえ、英国への渡航は困難であったが、令和3年度の調査を踏まえ、計画通り、半構成的インタビューによって抽出されたカテゴリ・サブカテゴリと、米国ASBH、英国UCKENによる臨床倫理コンサルタントに求められるコアコンピテンシーとの比較検討を実施することはある程度完了したことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度として、特に「組織防衛」としての安全「管理」ではなく、patient safety(患者安全)のためにこそ「安全で安心な医療」を自覚的・意識的に推進する「無危害 nonmaleficience」倫理原則を基盤とした「臨床倫理サポート」体制のあり方について、Core Skills(特に倫理的推論およびコミュニケーション・スキル)と相関させながら、「臨床倫理サポート」の体制構築の病院内モデルをどのように構築すべきかについて提言を行う。
|