研究課題/領域番号 |
21K10384
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
柏崎 郁子 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (90826702)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 終末期 / QOL / 看護 / ACP / 生命倫理 / 専門職倫理 / 特別養護老人ホーム / Advance Care Planning / 医学的妥当性 / 医学的適切性 / 質的調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、特養でのACPにおける看護職と医師による医学的妥当性と適切性判断にかかわる日常活動を、参与観察とインタビューによって明らかにしようとするものである。調査方法は参与観察とインタビューの2段階で構成される前向き観察研究である。
|
研究実績の概要 |
本研究は、特別養護老人ホーム(特養)でのAdvance Care Planning(ACP)における看護職と医師による医学的妥当性と適切性判断にかかわる日常活動を、参与観察とインタビューによって明らかにしようとするものである。調査方法は参与観察とインタビューの2段階で構成される前向き観察研究である。本年度は調査および文献レビューを実施した。本研究では、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に基づいたACPの実践に着目している。このガイドラインは、患者の自己決定権が尊重されるために必要なプロセスを示すものとして概ね肯定的に捉えられてきた。一方、ガイドラインの射程、その運用と医学的無益性の概念との関係、診療報酬および介護報酬システムとACPの関係に注目すると、特養でのACPの問題点や課題が見えてくる。そのため、これらの視点を焦点化しながら文献レビューを行った。研究の経過は、4つの学会で発表し、発表資料はreseachmapで公表した。また、これまでの研究をまとめた書籍を発表した。ひきつづき参与観察とインタビューを実施し実証的なデータを収集する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は参与観察とインタビュー調査および文献レビューを予定しており、その研究計画に基づき文献レビューを実施した。ACPでは、「自己決定」を尊重することと「当事者の利益」を考慮することの両要素が重要とみなされるが、一方で、「医療・ケア行為」の「開始・不開始・変更・中止等」は、「医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきである」ともされる。すなわち、終末期の意思決定において、当事者の自己決定が不明確な場合には、医学的妥当性と適切性を基に、特に慎重に判断する必要があることが示唆されているといえる。しかし、特養では、高齢ではっきりとした予後予測指標がない疾患を抱えている人や、認知機能の低下によって「自己決定」が困難とみなされる事態がACPの障壁となりうる。そこにおいて、先行研究が示唆するように、ACPなどの事前計画が「治療を制限するメカニズムとして機能する」側面に配慮する必要もある。つまり、特養では、当事者の自己決定が不明確な場合が多く、そのため、厚労省のガイドライン(2018)が示すように、医学的妥当性と適切性を基に、特に慎重に終末期の医療について判断することがACPを適切に機能させるための重要な条件となるといえる。そのため、特養でのACPを調査し課題を抽出するにあたっては、そもそもACPが必要とされる背景としての終末期、QOL、生存期間の延長を目的とした医療、というそれぞれの概念の成り立ちやこれまでの議論を整理し、論点を抽出しておくことが必要となる。本年度、調査と並行し実施した文献レビューの成果は、調査結果をまとめる際の骨格を形成するものとして重要な示唆が得られている。しかし、当初から感染症対策の関係で施設調査の調整が難渋し、本年度においても研究計画の調査施設数まで達成できていないことから、本年度の研究進捗はやや遅れているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度、調査が予定施設数より少なかったため予算の残額が生じた。次年度以降の研究において必要となるため使用予定である。
|