研究課題/領域番号 |
21K10395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
江副 幸子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (90379173)
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研究分担者 |
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (10263261)
紀ノ岡 正博 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40234314)
大川 竜麻 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (40838520)
塩崎 元子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (50598828)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 再生医療 / 細胞製造環境の衛生管理 / iPS細胞 / 二酸化塩素 / 過酢酸 / 過酸化水素 / hygiene management / regenerative medicine / quality assessment |
研究開始時の研究の概要 |
細胞製剤の製造においては、ヒト由来の細胞の不均一性、最終滅菌不可能なことなどから、製造工程でのより厳密な衛生管理が必要となる一方、原料、製品とも、大量にストックし必要に応じて輸送するということが困難である場合が多く、人の手によって小規模の製造を行っている現状の中で、製造のコストを下げることも極めて重要である。本研究では、細胞製剤の製造における衛生管理に何が必要で、どの部分を削減できるかについて実証的根拠に基づいた検討を行い、施設ごとに伝承的に継承されてきた細胞培養の操作や衛生管理について、科学的に実証に基づいた再生医療における製造管理・衛生管理の標準化をめざす。
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研究実績の概要 |
本研究は、再生医療のための細胞製品製造の現場において必要な衛生管理について科学的データを蓄積するとともに再生医療細胞製品の製造における衛生管理の標準化を目指す研究である。細胞調整施設(CPC)での空間除染において、細胞への毒性や環境資材の残留などを考慮しなければならない。また、低濃度二酸化塩素による持続的空間除染の細胞への影響について検討する事、各種除染剤の影響についても比較検討する事を目的とした研究を開始した。今年度の研究おいては、昨年度に引き続き 1)各種除染剤の培養液内下による細胞の生存、増殖への影響について、2)二酸化塩素の二酸化塩素濃度と培養液中に溶解する二酸化塩素の濃度との相関の検討、3)iPS細胞に対する二酸化塩素の持続暴露の影響について検討した。各種除染剤の培養液内滴下による細胞への影響については、二酸化塩素および過酸化水素、過酢酸製剤の環境の素材などへの吸着や残留量を検討し、間葉系幹細胞の増殖への影響について検討し、学会発表した。(日本再生医療学会総会 2023.3, 京都)iPS細胞に対する二酸化塩素の持続暴露の影響については、0.1ppmv及び0.05ppmvでの持続暴露においてiPS細胞の増殖や細胞死、未分化性の維持に影響がないことを示し、論文投稿した。(Regen Ther 2022 Okawa et al.) 昨年度、飽和塩を用いた湿度設定のシステムを整備したが、それぞれの湿度環境における二酸化塩素のウイルスへの影響や細胞への影響について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)各種除染剤の培養液への滴下による細胞の生存、増殖への影響について二酸化塩素、過酢酸噴霧、過酸化水素噴霧による影響について検討した。過酢酸製剤は溶液中で酢酸と過酸化水素に分解され平衡を保つ。培養液での酢酸と過酸化水素および過酢酸の溶解濃度を測定し、それぞれの濃度での培養液中への滴下による細胞への影響についての結果を得て学会発表を行った。 2)二酸化塩素の影響を調べるため、高温高湿度の条件、室温高湿度の条件、室温低湿度の条件などでの二酸化塩素の濃度の安定性を整備した。インキュベータ内での湿度維持のため飽和塩溶液を用いた湿度環境における低濃度二酸化塩素の影響とウイルスへの効果について検討し、現在論文作成中である。 3)iPS細胞に対する二酸化塩素の持続暴露の影響について。二酸化塩素0.1ppmv及び0.05ppmv環境におけるiPS細胞の長期培養における品質評価を行った。これまで申請者らは間葉系幹細胞において同様の検討を行ってきた。0.1ppmvでは、細胞老化が生じ、増殖が著明に影響を受けたが、0.05ppmvでは影響を受けなかった。一方、iPS細胞においては、0.05ppmv.0.1ppmv共に細胞増殖、細胞死、細胞老化、未分化性維持の何れにおいても影響を受けず、酸化ストレスに対する影響が受けにくいことが示された。これらの結果について論文投稿し、Regenerative Therapy(査読英文雑誌)に掲載された。さらにiPS細胞の分化への影響について検討した。二酸化塩素0.5ppmvへの暴露においては、三胚葉系への分化マーカーの発現に影響はなかったが、さらにterminal differentiationについて検討している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、培養空間内、培養液中の各種除染剤が細胞の増殖、生存、分化等に及ばす影響を検討し、また除染効果についての検討を行うこと、特に二酸化塩素については、CPC空間除染での指摘の濃度の決定と効果的な使用法について探索することを目的としている。 今年度は、各種除染剤の細胞への影響については、二酸化塩素及び過酢酸、過酸化水素の影響について検討した。さらに過酢酸の液中濃度の測定法を確立し、過酢酸として残留する溶液の影響を調べた上で、論文作成を行い、投稿を予定している。 二酸化塩素をはじめ、また本年度までは多分化能を有するiPS細胞の長期培養において未分化性の維持の検討を行った。しかし、再生医療では、iPS細胞はin vitro、in vivoでの分化による機能回復を目的として利用されることから潜在的分化能は再生医療における重要なポイントとなる。申請者らはすでに三胚葉への分化についての検討をしたが、さらにterninal differentiationについての検討も行う。 2019年より突如発生した新規ウイルスの蔓延により空間除染の必要性が求められてきた。一方、空間除染については科学的エビデンスが確立されていない。今年度には温度、湿度など様々な設定における二酸化塩素の各種濃度におけるCOVID-19の増殖への影響について検討したが、さらに検討を重ね、論文投稿を目指す。
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