研究課題/領域番号 |
21K10400
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
加藤 貴彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70169506)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自己抗体 / 抗核抗体 / 妊婦 / 化学物質 / ライフスタイル / 母親 / 児 / ライフスイタイル / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
自己免疫疾患は、細胞内のさまざまな蛋白質-核酸複合体、蛋白質複合体などに対する自己抗体の産生が特徴である。近年、I型糖尿病などの生活習慣病の発症予測マーカーとして血清に検出される自己抗体が注目されており、発生臓器や臨床症状との密接な関連も推測され、予防医学的・臨床的に重要な特異的バイオマーカーとなる可能性が期待されている。 本研究の目的は、妊娠中の母親とその出生児から収集された血清を用いて自己抗体を分析し、母親・児のライフスタイルデータ・疾患情報・健康指標との関連性について、横断的かつ経年的な疫学解析を実施し、自己免疫疾患に関する発症予測バイオマーカーを発見することである。
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研究実績の概要 |
妊娠中の母親とその出生児から収集された血清を用いて自己抗体の分析を行い、母親と出生児の質問紙調査票・医学的データによる健康指標との関連性について、横断的かつ縦断的な解析を実施し、血液レベルで検出できる新たな発症予測自己抗体バイオマーカーを発見することである。 対象者は、エコチル調査南九州・沖縄ユニットセンターの熊本大学対象地域で登録された3,082人のうち、研究に同意が得られた1,353人とした。抗核抗体は、妊娠初期の残余血清試料から、HEp-2 細胞を用いた間接蛍光抗体法により、血清希釈40倍をカットオフとして評価した。社会疫学的データおよび化学物質曝露データは、エコチル調査の自記式質問票から入手した。データ欠損のあった118人を除外し,妊娠第1期(平均13.3週,標準偏差3.5)の妊婦1,235人を解析対象とした。 解析の結果、抗核抗体陽性率は17.3%で,そのうち抗体価40倍が80.8%を占めた。対象者は,雇用の有無に関わらず複数の化学物質に曝露されていた。4種類の化学物質においては,週1回以上の曝露で抗核抗体陽性のオッズ比が有意に上昇した(灯油類 [調整オッズ比 (adjusted odds ratio; AOR) 2.11; 95%CI 1.03-4.34]; 塩素漂白剤 [AOR 1.97; 95%CI 1.10-3.54]; 有機溶剤 [AOR 5.34; 95% CI 1.40-20.36]; コピー機・レーザープリンター [AOR 1.73; 95% CI 1.17-2.52] 。抗核抗体は日常的な化学物質曝露マーカーの一つとなり得る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度実施した研究は順調に実施・解析が進んだ。解析結果は論文にまとめ、Int J Hyg Environ Health(2023 Mar;248:114094. doi: 10.1016/j.ijheh.2022.114094. Epub 2023 Jan 5)に受理され、発表された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに分析した妊娠第1期血清の抗核抗体に加え、妊娠第2~3期血清と出生児臍帯血をを用いて抗核抗体を分析する。妊娠中の抗核抗体の変化、臍帯血の抗核抗体、そして生まれた児の体格や健康状態との関連性を明らかにする。
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