研究課題/領域番号 |
21K10403
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
中野 竜一 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80433712)
|
研究分担者 |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
遠藤 史郎 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40614491)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 薬剤耐性菌 / β-ラクタマーゼ / 抗菌薬 / グラム陰性桿菌 / 発現調節機構 / カルバペネム耐性菌 / カルバペネマーゼ / 抗菌薬治療 / 耐性獲得 / 挿入配列(IS) |
研究開始時の研究の概要 |
医療現場において感染症治療を進めている内に、薬剤耐性菌が出現し治療に難渋する例が散見される。その要因として耐性遺伝子獲得や突然変異獲得が挙げられるが、生体内においてどのような条件によって耐性化しているか、またそれらの特徴について不明な点が多い。本研究ではカルバペネム耐性菌が出現するメカニズムを明らかにし、耐性菌を生み出さない条件を提案することを目的とし、次の3つの研究課題に取り組む。 課題1.抗菌薬治療中に耐性獲得した病原菌の実態ならびに耐性機構を明らかにする 課題2.どのような抗菌薬添加条件が耐性獲得に導くか再現実験にて立証する 課題3.耐性機構の不明な菌株についてそのメカニズムを解明する
|
研究実績の概要 |
医療現場で問題となる薬剤耐性菌について、特にカルバペネム耐性グラム陰性桿菌が問題視されている。その耐性機序としてカルバペネマーゼが重要であるが、最終年度はこれを産生しない耐性株について、その耐性機序の解明を目的とした。遺伝学的解析ならびに生化学的解析によってその多くが外膜タンパク質のポーリンに点突然変異や転位因子によるフレームシフトによる機能欠損が起きていたことが判った。外来遺伝子の獲得は偶発的なものであるが、菌株自身の遺伝子変異はどの株にも起こりうるものであり、その変異獲得のメカニズムや制御は重要であることが判った。 研究期間全体ではカルバペネマーゼ産生菌についての解析も実施した。多剤耐性Providencia rettgeriの耐性機序を解析したところ新規カルバペネマーゼ遺伝子IMP-70を保有していることが判った。さらにESBL遺伝子とAmpC β-ラクタマーゼ遺伝子も同時に保有していた。これら耐性遺伝子はプラスミドにコードされており、複雑に組み合わさってこの耐性プラスミドが構築されたことが判った。その他には本邦で初めて分離したカルバペネマーゼNmcA産生Enterobacter ludwigiiについて発現機構を解明した。誘導型のNmcAがカルバペネムに高い耐性を示すのは、カルバペネムに対する高い分解活性のみならず、カルバペネム自身が酵素産生の高い誘導能を有していることが判った。本菌株の報告例は世界的にも少ないため、発現機構を考慮した検出方法も開発した。 その他、家畜(牛、豚)の分離株について解析したところカルバペネム耐性菌は検出されなかったが、医療現場からも多く検出されるESBL産生菌が多く検出された。家畜由来株は臨床分離株とゲノム型などの共通性は認められなかったが、家畜農家との間で共通した株が存在しており濃厚接触により拡散される可能性が示唆された。
|