研究課題
基盤研究(C)
WHOが提唱するB型肝炎(HBV)のグローバルエリミネーションの実現には、低所得国においても、血中HBV DNA値の高いハイリスク感染者の同定と核酸アナログ治療の実施が重要である。しかしPCR法によるHBV DNA測定は高価で途上国では普及していない。我々は代替マーカーとして、コア関連抗原(HBcrAg)に着目、化学発光酵素免疫測定法での測定値が高HBV DNA値の診断に有用であることを示した。本研究では途上国で実施可能な測定法として、富士レビオ社と共にイムノクロマトグラフィー法によるHBcrAg検出の簡易迅速検査を開発、慢性HBV感染者の血清及びろ紙血を用いその感度・特異度を検討する。
富士レビオ社とイムノクロマトグラフィー法によるB型肝炎コア関連抗原検出の簡易迅速検査(HBcrAg-RDT)を開発し、その妥当性を検討した。ガンビアのB型肝炎感染者の保存血清を用いた後ろ向き評価、および、ブルキナファソのHBV感染者の指尖血(全血)を用いた前向き評価、いずれにおいても、HBcrAg-RDTがHBV DNA高値の診断に有用であることを示した。また、ブルキナファソにおける医療経済評価を行い、B型肝炎母子感染予防にHBcrAg-RDTを用いた方が従来からのHBV DNA測定などに比べて安価に実施できることを示した。
本研究では、血清、血漿、全血中の高ウイルス血症を検出する迅速検査を新規に開発した。本検査は、試料準備が簡易、機器やコールドチェーンが不要で、動作温度は39°Cまで対応し、迅速なターンアラウンドタイム(45分)という特長があり、低・中所得国でのポイント・オブ・ケアでの使用に適している。WHOが推奨する妊婦の抗ウイルス予防の適用基準(ウイルス量200,000 IU/mL以上)を診断するのにあたり、ガンビアの生殖年齢女性では感度100%、特異度87.5%、ブルキナファソの母親から採取した指尖血(全血)では感度89.7%、特異度94.2%と、非常に有望であった。
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