研究課題/領域番号 |
21K10423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
大澤 佳代 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (50324942)
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研究分担者 |
重村 克巳 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (00457102)
白川 利朗 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (70335446)
三浦 真希子 神戸常盤大学, 保健科学部, 特命講師 (00610320)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL) / カルバペネマーゼ / インドネシア / 肺炎桿菌 / サルモネラ / 基質拡張型βラクタマーゼ / 薬剤耐性細菌 / 薬剤耐性遺伝子 / プラスミド / 多国間比較 / 多国間 / 全ゲノム解析 / RNA-seq解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本国内およびアジア諸国であるインドネシア、ネパール、台湾など各国での薬剤耐性細菌を採取し、薬剤耐性細菌がもつ薬剤耐性遺伝子について、ヒト・動物・環境から得られた各種細菌やサンプルの薬剤耐性遺伝子について、高速シークエンスを用いて網羅的に分析し、かつ遺伝子発現量を定量する包括的レジストーム解析を行うことにより、薬剤耐性遺伝子が医療現場から市中環境でどのような機構により残存・拡散するのか、その動向を解明し、各国に応じた薬剤耐性細菌への対策に対する知見を得る。
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研究実績の概要 |
今年度は国内およびインドネシアで検出された株について下記のごとく解析した。 国内では、基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)を産生する肺炎桿菌について、過粘稠性株54株非過粘稠性株53株について薬剤感受性と病原性の比較を行った。過粘稠性株はほとんどの株で病原性を示す遺伝子を多く持っていた。また、HMV株は莢膜K2型が40.7%であり、非HMV株に比してセフェピムやピペラシリンタゾバクタムの耐性が有意に高かった。この結果は、第70回日本化学療法学会総会(2022年6月、岐阜)にて発表し、J Microbiol Immunol Infect(2023年3月)にて論文発表を行った。さらに、国内のカルバペネム耐性肺炎桿菌22株のカルバペネム耐性を調べたところメロペネム耐性が非常に高く、これらの株の54.4%がIMP-6のカルバペネマーゼをもち、特定のシークエンスタイプであった。またカルバペネマーゼ非産生株の原因は主に細胞膜透過性にかかわるompK35の変異であることがわかった。この結果はLett Appl Microbiol.(2023.2)にて論文発表した。インドネシアのESBL産生肺炎桿菌105株についてもキノロン耐性について、染色体性の変異よりもプラスミド性の変異が耐性にかかわっていることを示し、Pathog Dis.(2022年5月)に論文発表した。インドネシアの食肉からのサルモネラ50株について、キノロン耐性やテトラサイクリン耐性をもつサルモネラのうちS. Schwarzengrundが多く認められ、病原性の高い株ということが示された。この結果はPathogens(2022年5月)に論文掲載され、2022年最も閲覧された論文の一つであると評された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は論文発表4報と概ね順調に進めている。現在論文投稿を進めているのが、国内の下痢症を起こすサルモネラ351株についての薬剤耐性率に関する調査であり、第34回日本臨床微生物学会総会・学術集会(2023年2月横浜)での学会発表を行っている内容である。さらに、ネパールの環境からの耐性菌の調査やインドネシアのチキン由来のサルモネラ以外の腸内細菌科細菌など薬剤耐性グラム陰性桿菌の探索を行っているなど、継続して調査研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はインドネシアの新たな尿路感染症由来株について、薬剤感受性試験と一部薬剤耐性遺伝子を確認するなど進行中であり、今後学会発表や論文作成を進めている。これ以外に現在進めているのが、新たな抗菌薬の探索として新規化合物に関する検討を行っており、この論文を投稿中である。
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