研究課題/領域番号 |
21K10455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
佐野 浩斎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20408404)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高齢者糖尿病 / 過活動膀胱 / 地域調査研究 / リスク因子 / 地域調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は典型的な農村部で高齢者の割合の多い新潟県津南町を対象地域としておこなう。高齢者糖尿病患者における過活動膀胱の頻度ならびに関連するリスク因子などを津南町に1か所しかない町立津南病院を受診する対象者から得られる医療情報をもとに調査する。 高齢者糖尿病患者における過活動膀胱の頻度ならびに関連するリスク因子を検討することにより、高齢化が進む日本の将来における高齢者糖尿病患者における過活動膀胱に関する病態把握や適切な医療を提供する際に必要不可欠な情報を得ることができる。
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研究実績の概要 |
研究期間の2年目の当該年度は2023年3月31日までに町立津南病院を受診した時点で65歳以上のすでに糖尿病と診断されている患者もしくは新たに糖尿病と診断された患者を対象とし外来にて53症例(男性17症例/女性36症例)をリクルートした。2023年3月31日の時点で、その中の37症例(男性12症例/女性25症例)平均年齢77.8±7.5歳(±標準偏差)に対して調査が施行された。糖代謝に関する指標は、血糖値は全体が平均150±44 mg/dl、男性が平均158±42 mg/dl、女性が平均192±45 mg/dlであった。HbA1c値は全体が平均7.1±0.8%、男性が平均7.1±0.8%、女性が平均7.0±0.9%であった。調査が施行された症例の中で、排尿後の膀胱内に残尿を認めないものは24症例(男性1症例/女性23症例)で残尿量を認めるものは13症例(男性11症例/女性2症例)であった。残尿量を認める症例での残尿量は全体が平均38.7±64.4ml、男性が平均42.0±70.0ml、女性が平均21.0±4.2mlであった。過活動膀胱症状質問票を用いた排尿に関する臨床像を確認した合計スコアは、全体が平均5.4±3.6点、男性が平均5.9±3.7点、女性が平均5.2±3.5点であった。神経伝導速度値は全体が平均52.7±4.8m/s、男性が平均50.3±4.4 m/s、女性が平均54.0±4.7 m/sであった。活動電位振幅値は全体が平均9.0±4.3μV、男性が平均10.4±4.1μV、女性が平均8.2±4.4μVであった。自律神経に関する評価として心電図RR 間隔変動係数(coefficient of variation R-R interval: CVRR)値は全体が平均3.33±2.78%、男性が平均4.43±4.48%、女性が平均2.80±1.21%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は研究期間の2年目で、外来での対象症例のリクルートとともに患者情報の収集および臨床検査技師などの調査チームによる検査も順調におこなわれた。新潟県津南町という人口約9800名の地域において調査しているため、糖尿病の有病率を約1割とすると津南町内の糖尿病患者は約980名と推定される。さらに当該地域の65歳以上の高齢者は約4割のため高齢者糖尿病患者は約390名と推定される。この患者層を対象にさらなるリクルートを継続した。当該年度末の2023年3月31日までに町立津南病院を受診した時点で65歳以上のすでに糖尿病と診断されている患者もしくは新たに糖尿病と診断された対象患者を、外来にて53症例(男性17症例/女性36症例)リクルートし、2023年3月31日の時点では、その中の37症例(男性12症例/女性25症例)平均年齢77.8±7.5歳(±標準偏差)に対して調査を施行した。糖代謝に関する指標として、血糖値およびHbA1c値を測定した。排尿に関する臨床像を確認し、過活動膀胱症状質問票を用いた合計スコアを算出した。排尿後における膀胱内の残尿量や神経伝導速度値および活動電位振幅値も測定した。自律神経に関する評価としては、心電図RR 間隔変動係数(coefficient of variation R-R interval: CVRR)値を測定した。リクルート開始からはその後の対象者からのデータ取得が順調に行なわれている点からも「おおむね順調に進展している」を選択させて頂いた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は研究期間の2年目であり、対象者のリクルートと同時にデータの取得を並行しておこなった。次年度はさらに町立津南病院の外来を受診する患者から対象となる高齢者糖尿病患者をリクルートし、調査を継続する。今後の研究の推進方策に関しても、研究計画の変更はなく、当該年度の初年度と同様に、町立津南病院を受診した時点で65歳以上の、すでに糖尿病と診断されている患者もしくは新たに糖尿病と診断された患者をリクルートする。すべての患者に対して説明を行い、文書にて同意を得る。対象者の身体所見、既往歴および家族歴の有無、糖尿病発症年齢、糖尿病罹 病期間、年齢、性別、糖尿病の治療方法などの臨床像、糖尿病やその他の生活習慣病に関する各種検査項目、糖尿病合併症の有無も確認する。確認できていない項目に関しては順次確認していく。対象者に過活動膀胱症状質問票を用いて、排尿に関する臨床像を確認し、過活動膀胱の診断基準に基づき合計スコアを算出する。神経伝導速度測定器を用いて末梢の感覚神経のひとつである腓腹神経に電気刺激を与え、神経伝導速度値と活動電位振幅値を定量的に測定する。自律神経に関して心電図RR 間隔変動係数(coefficient of variation R-R interval: CVRR)を測定する。津南町在住で町立津南病院の外来を受診した時点で65歳以上の患者の中で、高齢者糖尿病患者のリクルートを継続し、患者背景や臨床像を確認し、さらに過活動膀胱症状質問票を用いて、過活動膀胱に関する臨床状態を確認することや末梢神経障害や自律神経障害検査や膀胱内の残尿量を確認することにより、高齢者糖尿病患者における過活動膀胱のリスク因子を明らかにしようとする本研究の目的を遂行していく。
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