研究課題/領域番号 |
21K10510
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
薬師寺 祐介 関西医科大学, 医学部, 教授 (80418813)
|
研究分担者 |
松本 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10330979)
原 めぐみ 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90336115)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | MRI / 脳ドック健診 / 認知症 / 脳小血管病 / アルツハイマー病 / 血液脳関門 / 中年期 / 生活習慣病 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)は、中年期の1mm未満の脳微細血管障害(通称“脳小血管病” cerebral small vessel disease: cSVD)”による神経・血管ユニット破綻から始まるという説が注目されている。cSVDは、生活習慣病による細動脈硬化の結果として脳MRI上に多様な形態で可視化されるが、これらcSVD画像病変とAD発症との関連は明らかになっていない。 本研究の目的は、健常人集団を用いた縦断研究で、老年期AD発症リスクを層別化する包括的cSVDスコアモデルを中年期MRI画像から構築することにある。
|
研究実績の概要 |
本課題検証のための認知症移行者への面談がCOVID19の影響で思うように進まない中、本課題の中核的興味対象であるcerebral small vessel disease (SVD)負債の臨床的影響に関して以下の2点について解析報告を行った。 ①Kashima Scan Study Phase 1参加者のうち、フォローアップMRIを受けたものを対象とし、両MRIの評価でcerebral small vessel disease (SVD)負債の悪化に関連因子の探索を行った。具体的には両スキャンでtotal SVD scoreの変化を確認し、スコア増悪に関連するベースラインデータの抽出を行った。本スコアは、MRI上の1)ラクナ、2)脳微出血、3)中等症以上の白質高信号、4)中等度以上の基底核血管周囲腔拡大の4項目に対して各々1点が付与され、合計4点満点となる。SVD負債悪化は本スコア1点以上と定義した。結果、665名(平均57.7歳、男性48.7%)を解析対象とした。多変量ロジスティック回帰分析では、経年的なSVD増悪因子には年齢、高血圧、血圧値上昇、フォローアップ期間が関連した。本結果は欧州脳卒中会議2022、並びに第10回韓日脳卒中会議で発表し、後者ではベストプレゼンテーションアワードを受賞した(発表者:佐賀大学 井手俊宏 先生)。②SVD scoreと将来の脳血管イベントとの関連について、初発脳梗塞患者コホートを用いて検証した。結果、467名(平均75.0歳、男性59.3%)の初発脳梗塞における解析を行った.本集団でのベースラインMRIでは67%がSVD score 2であった。SVD score 2以上は脳卒中再発に関連することが示された。本件は英文誌Frontiers in Aging Neuroscienceに 掲載された(発表者 池田宗平)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の流行により、2施設間で行われる情報共有、並びにデータ解析が困難であった。また佐賀大学神経内科側の人事変更などに伴う、研究代表施設の変更に伴う佐賀大、関西医大の各施設での倫理審査の手続きにも時間を要した。本課題の中核となる認知症移行者候補者への直接面談による臨床診断については、新型コロナウイルス感染症の国内第7波、8波によりできなかった。2023年に実行できるかは不透明であり、代替策の考案については、分担医師らと協議したい。そのような研究が閉塞している状況で、2件の解析を進め、学会発表、論文投稿ができた点は評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後アンケート修正のもと認知症疑い対象者の絞り込みを行う。その後面談の計画をしているが、COVID-19の流行によりスケジュールなどが立てられない状況も考えられる。幸い2022年度になり若干直接面談ができる雰囲気が形成されている。しかし、直接面談ができない状況が続けば、IQCODEの結果のみで解析で行うなどの計画変更なども視野に入れる。
|