研究課題/領域番号 |
21K10527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
谷 直人 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 助教 (00802612)
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研究分担者 |
池田 知哉 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (10620883)
石川 隆紀 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50381984)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 時計遺伝子 / 薬物代謝酵素 / 薬物中毒 / メタンフェタミン / ベンゾジアゼピン / 薬物代謝 / 覚醒剤 / 肝臓 / 培養細胞 / バイオマーカー / 向精神薬 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らはこれまでに,心臓性突然死や出血関連死症例などのヒト組織を用いて,時計遺伝子の病態生理を解明してきた.その中で,薬物中毒死亡症例のうち血中薬物濃度が致死域に達していないにもかかわらず死亡に至る症例があり,薬物の作用に時間依存的な変動を引き起こすBMAL1, PER2等の時計遺伝子の関与が示唆された.時計遺伝子は薬物代謝酵素であるシトクロムP450の発現を制御し,薬物代謝に時間依存的な影響を及ぼしていることが,培養細胞やモデル動物を用いて研究されている.そこで,本研究では覚せい剤や向精神薬による薬物中毒死由来のヒト組織および体液を用い,薬物代謝における時計遺伝子の役割を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的はヒトの概日リズムに着目し,薬物中毒死例における薬物代謝能を評価することであった.覚醒剤摂取例の肝臓における遺伝子発現解析の結果,BMAL1およびCYP2D6の発現は血中覚醒剤濃度が中等度から重症度域で高く,致死域で低下する傾向がみられた.PER2 およびCYP3A4の発現は,血中覚醒剤濃度が上昇するにつれて増加し,血中覚醒剤濃度が致死域で最高値を示した.培養細胞実験において,肝癌由来であるHepG2細胞にメタンフェタミン(MA)添加すると,添加後の経過時間に依存し,BMAL1およびCYP2D6の発現は低下した.PER2および CYP3A4の発現はMA濃度依存的に極軽度上昇した.siRNA導入によるBMAL1抑制下では,CYP3A4およびCYP2D6の発現は上昇した.PER2抑制下においてもCYP3A4の発現は上昇した.一方,PER2抑制下のCYP2D6はMAの影響を受けなかった.一方,ベンゾジアゼピン(BZD)摂取例の肝臓における遺伝子発現解析の結果,ジアゼパム検出群のDBP,CYP3A4,およびCYP2C19の発現が薬物非検出群よりも低下していた.さらに,BMAL1発現はCYP2C19発現と相関した.HepG2細胞にBZD系薬物を添加すると,ジアゼパムおよびミダゾラム曝露後にDBPおよび CYP3A4の発現が減少したのに対し,BMAL1およびCYP2C19の発現は増加した.本研究結果より,MAおよびBZD摂取例における薬物代謝酵素の発現に時計遺伝子が関与していることが示された.また,時計遺伝子の発現状態により薬物代謝酵素の発現が影響され,薬物による致死的副作用の個人差に関与する可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的はヒトの概日リズムに着目し,薬物中毒死例における薬物代謝能を評価することである.これまでの進歩状況として,メタンフェタミン(MA)およびベンゾジアゼピン(BZD)摂取例における薬物代謝酵素の発現に時計遺伝子が関与していることが示された.また,時計遺伝子の発現状態により薬物代謝酵素の発現が影響され,薬物による致死的副作用の個人差に関与する可能性が示唆された.研究はおおむね順調に進展しており,次年度には肝臓における薬物代謝酵素発現のみならず,メタンフェタミン摂取による中枢神経障害への影響と時計遺伝子の関係性などを調査していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果より,メタンフェタミンが時計遺伝子発現に影響することや,時計遺伝子が薬物代謝に関与することを明らかにした.一方で,時計遺伝子は薬物代謝酵素のみならず,様々な生理活性物質の発現に関与していることが知られており,他にも中毒症状の発現に影響する因子を制御していると考えられる.今後は,メタンフェタミン摂取による中枢神経障害への影響と時計遺伝子の関係性にも着目して研究していく予定である.
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