研究課題/領域番号 |
21K10528
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
粕田 承吾 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70434941)
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研究分担者 |
勇井 克也 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50783875)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 組織因子 / 単球 / スズラン毒 / コンバラトキシン |
研究開始時の研究の概要 |
スズラン は、主に観賞用として栽培されている。しかし、野山に自生しているスズランも多くみられ、食用のギョウジャニンニクと外観が似ていることから、誤食による食中毒が現代でも後を絶たない。スズラン毒の主成分はconvallatoxin (CTX)と呼ばれる強心配糖体の一種である。摂取した場合、嘔吐、頭痛、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こし、重症の場合は死に至る。一方、CTXによる中毒では出血傾向を示すことが経験的に知られているが、その機序は現在までのところ、まったく不明である。本研究では、CTXが血液凝固系に対する影響を検討し、その作用機序を明らかにする。
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研究実績の概要 |
スズラン毒convallatoxin (CTN)が単球において(tissue factor ; TF)産生を誘導するという仮説のもとに実験を行っている。ヒト血液中のTFの主要な産生細胞は単球と考えられることから、ヒト単球系のcell lineであるTHP-1細胞を使用してCTXの単球に及ぼす影響を検討した。 ヒト全血にCTNを投与し、4時間インキュベートしたのちにrotational thrombometry (ROTEM)にて全血の凝固時間を測定した。その結果、clotting time (CT)およびclot formation time (CFT)の和(CT+CFT)の短縮が確認され、CNTは全血の凝固時間を短縮させることが明らかとなった。また、同様にCTN添加後インキュベートした全血から血漿を分離し、凝固亢進の指標であるthrombin-antithrombin complex (TAT)をELISA法で測定した。その結果、CTNの投与によりTAT産生が増大し、CTNによりトロンビン産生が亢進する、すなわち凝固全体の過程が亢進することが示された。これらのことは昨年までに示したCNTによる単球からのTF産生が関与しているものと考えられた。また、THP-1におけるTFのmRNA産生をリアルタイムPCRで評価したところ、CTXによりmRNA産生が増大していたが、これはMEK阻害剤であるPD98059の添加により阻害されることが見いだされた。以上のことと昨年までの結果を踏まえ、Blood Coagulation and Fibrynolysisへ投稿し、受理された。 また、現在血小板凝集に対するCNTの作用について検討を開始しており、CNTの前処理によって、血小板のADP凝集が亢進することを見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年までの結果と本年の結果をまとめ、論文として発表することができたという点で、おおむね順調な進捗と考える。しかし、論文投稿の準備に多くの時間をとられたこともあり、新たな進捗はあまり得られなかった。動物実験に関しては、明らかな成果を得られず、当初の計画以上の進捗とは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果で二次止血(すなわち凝固因子)に対するCNTの影響は明らかにすることができたと考えている。今後は、一次止血(すなわち血小板凝集)に対するCNTの効果を検討したい。予備的な検討で、CNTの前処置により、血小板のADP凝集が亢進することを見出している。CNTによる血小板凝集増大作用の確認と、その機序の解明に注力したいと考えている。 また、neutrophil extracellular traps (NETs)に対する影響の検討も未完であり、好中球にCNTを作用させることによってNETsの放出がどのようになるのか、またその機序について解明していきたい。
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