研究課題/領域番号 |
21K10530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
井上 博之 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (40159992)
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研究分担者 |
矢島 大介 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60451754)
岡馬 恵介 国際医療福祉大学, 医学部, 助手 (80844240)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 社会医学 / 法中毒学 / 質量分析 / スクリーニング / 薬毒物 / 覚醒剤 / アルコール / 揮発性薬毒物 / トロイダル型イオントラップ質量分析計 / 固相マイクロ抽出 |
研究開始時の研究の概要 |
法医学領域において中毒事例あるいはその可能性を疑う事例は増えており、中毒原因物質を早期特定する重要性も増大し、迅速測定するための手法開発は重要なテーマである。本研究ではトロイダル型イオントラップ質量分析装置を用いて、アルコール、有機溶剤、有機リン系農薬などの簡易検査法を開発し、法医解剖時の迅速検査や救急医療の現場で活用可能な検査システムを構築することを目的とする。本装置は携帯型で、内蔵するバッテリーでも駆動することから屋外での利用も可能であり、検視・検案の現場においても利用可能と考えられ、犯罪死の見逃し防止にも貢献できると期待される。
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研究実績の概要 |
【方法】携帯型GC-MS(TORION T-9, Perkin Elmer)は、微極性GCカラム(MTX-5)およびトロイダル型イオントラップMS(電子イオン化)を搭載しており、重量14.6 kgである。本研究において対象物質は覚醒剤メタンフェタミン(MA)および代謝物アンフェタミン(AP)とした。10 mL容ヘッドスペースバイアルに測定試料(標準溶液または尿)0.5 mLおよび飽和炭酸カリウム水溶液0.5 mLを分注し、直ちに密栓した。バイアルを80℃にて一定時間加温後、固相マイクロ抽出(SPME, DVB/PDMS)ファイバーをヘッドスペースに10分間曝露して対象物質を吸着させ、装置に導入した。 【結果と考察】MAおよびAPのピークはそれぞれ特徴的なイオンで構成され、そのマススペクトルおよびピークの保持時間を比較することにより、物質の同定が可能であった。検出下限(LLOD)は約1μg/mLであった。対象物質の濃度が高くなると、マススペクトル中のイオンの相対比が変化するとともに、m/zが+1~+2にシフトすることがあり、自動判定が困難となった。この問題は、高濃度の対象物質のスペクトルをライブラリに追加することで克服された。本法を法医解剖から得られた尿試料に適用したところ、MAとAPが自動的に検出された。腐敗が進行した尿試料では、LLOD以上でもMAとAPが検出されない場合があった。これは腐敗性アミンによる干渉によるものと推察されたが、現在詳細な解析を進めている。今後も症例検体の測定を継続し、本法の実用性を総合的に評価したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の研究開始時期の遅れを次年度以降の2年間で取り戻すことができなかった。本年に入り、尿中薬物の測定法を構築する手始めとして覚醒剤を選択した。現在のLLODは尿中濃度として約1μg/mLであるが、法医解剖試料を用いて評価する過程で、夾雑物による妨害を受ける可能性が認められた。これを克服するため、装置感度を2-5倍程度向上させる改良(試料前処理条件、質量分析条件の調整等)を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
尿中覚醒剤の測定については、今後、実験室外での運用を想定したシステムを構築し、社会実装したいと考えている。すなわち、試料を入れたバイアルの加熱に用いたアルミブロックヒーターに替わるもの、たとえば炭酸カリウムの溶解熱を利用する方法などを考案する。また、トルエン、ベンゼンなどの揮発性化合物への適用性を評価し、実試料を用いた検証を行う。さらに、対象薬物を広げ、麻薬検知等への応用可能性について評価する。これらを総合し、携帯型GC-MSを用いた揮発性薬毒物の迅速検査法としての有用性を確立したいと考えている。
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