研究課題/領域番号 |
21K10531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
矢島 大介 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60451754)
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研究分担者 |
平田 雄一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (20896344)
井上 博之 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (40159992)
岡馬 恵介 国際医療福祉大学, 医学部, 助手 (80844240)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 各種臓器からのCOHb%分析 / 体腔液のCOHb%分析 / 臓器からのCOHb%分析 / 臓器からのCO分析 |
研究開始時の研究の概要 |
一酸化炭素(CO)中毒の診断には血液中の一酸化炭素ヘモグロビン飽和度(COHb%)や血中CO量の測定が必須であるが、法医では死後変化により血液が消失し診断できないことも多い。COHb%は血液ガス分析装置で容易に測定できることから、血液が採取できない事例でも、その他の体液でCOHb%の分析は行われるが、その信頼性に関する論文はない。さらに液体成分が採取できない場合はCO中毒の診断はできない。この研究では血液以外の体液でのCOHb%分析の信頼性の程度を明確にし、死後変化の影響を明確にすること、液体試料の採取できない事例で臓器からCOHbやCOを抽出・分析し新規診断法を確立することを試みる。
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研究実績の概要 |
昨年度は血液以外の体液で一酸化炭素ヘモグロビン飽和度(COHb%)が分析できることが分かったため、本年度は各種臓器を用いてCOHb%が測定できるか否かを検討した。最終目標は血液もその他の体液も採取できない死後変化の進行した事例での一酸化炭素中毒の診断であることから、本年度は各種臓器で一酸化炭素中毒の評価が可能か否かを明らかにすることを目標とした。したがって死後変化のない血液試料のある事例を用いて各種臓器でCOHb%の分析を試み、血液での値と比較した。 ①対象事例の収集と分析臓器種:死後変化がなく血液試料のある6事例の心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、骨格筋を収集することができた。 ②臓器からの分析方法:各種臓器の一定量を分取し水を加えて微細化した後にその上清を分取し、必要に応じて濃縮した抽出液を血液ガス分析装置に導入した。 ③結果:各種臓器の抽出液でもCOHb%が分析可能であることが分かった。血液のCOHb%値と比較すると、それらの抽出液のほとんどは血液の値の約6割程度ではあったが、各種臓器を用いても一酸化炭素中毒の評価が可能であることが示唆された。一方で心筋では約3割程度の値、骨格筋では分析値が算出されず、一酸化炭素中毒の評価が困難なことが予想された。 ⑤今後の予定:死後変化の進行した事例の臓器を用いて分析が可能か否かを検討していく。また、心筋や骨格筋で分析が困難な理由を解明するためにガスクロマトグラフィーや分光光度計を用いた方法なども検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウクライナ危機など明確な理由は不明であるが、一部の試薬と精密機器の納入が定期的になされず、分析数を制限せざるを得なかったこと。また、近年の解剖依頼事例の増加により研究時間が制限されたこと。
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今後の研究の推進方策 |
本年に引き続いて、①死後変化のない血中COHb%高値の事例を収集して臓器での分析結果を増やし、統計的信頼性を高めること、②死後変化が進行したCO中毒の無い事例でCOが産生されたいことを確認する実験を行うこと、③死後変化の進行したCOHb%高値の事例を収集し、各種臓器で分析が可能か否かを検討すること、④心筋や骨格筋で分析が困難な理由を解明することを行っていく予定である。④については今までの分析方法では困難であることから基礎的研究から始める。具体的には一酸化炭素ミオグロビンの存在を確かめることが必要である。ミオグロビン標準物質を分光光度計やガスクロマトグラフィーなどを用いて分析可能かを確認し、その後一酸化炭素を負荷して、波長や保持時間変化を観察することから始める。
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