研究課題/領域番号 |
21K10533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鉄 堅 日本大学, 医学部, 講師 (40277439)
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研究分担者 |
奥田 貴久 日本大学, 医学部, 教授 (20620305)
内ケ崎 西作 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (30223548)
高成 広起 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (70723253)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 血漿試料の収集 / MicroRNAマーカー / TaqMan Assayの解析 / CAD病理学的評価 / 相関性の解析 / SNP / 遺伝子 / 動脈硬化 / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、法医解剖が行われたご遺体の組織・血液を対象とし、死体血中の循環miRNAを網羅的に解析し、実際の冠動脈病理所見と紐付け、機械学習による統合的な分析を加えることで、冠動脈硬化症の発症・重症化に影響を及ぼしうる「miRNAクラスター」を明らかにすること目的とする。CADは不安定狭心症・心筋梗塞など重篤な心疾患から突然死を引き起こす。特定の発現パターンを示すmiRNA群をmiRNAクラスターとして分析することで、臨床医学で活用できるCADの新規診断法の開発に資することを主眼に置く。
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研究実績の概要 |
アテローム性動脈硬化症はよく見られる血管疾患であり、冠動脈疾患(CAD)は心臓の血管の疾患です。動脈硬化性CADは年齢とともに増加する傾向があり、一般的で致命的な心血管疾患と考えられています。既知のmiRNAに関するCAD危険因子の中で、Has-miR-143及びHas-miR-146aについて数多く報告されました。最近、これらのmiRNAをコードする遺伝子rs41291957及びrs2910164のGenotypingの種類とCAD発病のリスクと関係することが明らかになりました。しかし、日本人集団に関する報告はほとんどないので、本研究は法医学解剖事例を試料として冠状動脈硬化の状況を観察したうえで血液を採取しmiRNAの発現量を測定するとともにその対応するSNP遺伝子のパターンも解析しました。 血漿からRNAを精製し、逆転写によりcDNAを得られTaqMan assay法を用いmiRNAの発現量を測定しました。さらにmiR-143とmiR-146aについてそれぞれ関連する遺伝子rs41291957及びrs2910164をターゲットとしてTaqMan SNPアッセイを使用して2つのSNP遺伝子座のGenotypingを調べました。解剖所見と顕微鏡観察により151人の試料を解析しました。主冠動脈、前下行枝、回旋動脈、および右冠動脈の閉塞の程度を評価するためにImageJソフトウェアを使用して、アテローム硬化性閉鎖が10% 未満 (コントロール) および 10% を超える2つのグループに分かれて分析しました。その結果、後者はコントロールグループよりrs2910164 CC遺伝子型は多く確認されたことで研究集団におけるCADのリスクと関連していたことが示唆されました。ただし、Has-miR-143 rs41291957遺伝子型は、CADリスクとの明確な関連性を示しませんでした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本学で行われた法医学解剖の死体の血液をサンプルとして使用しました。採取したサンプル数は前年度に比べさらに増やしてターゲットマーカーの解析を進んでおりました。miRNAマーカーの発現量を測定するためにTaqManアッセイを合成し、逆転写によりcDNAを合成したうえでmiRNAを解析しました。また、血液からDNAを精製しTaqMan SNP Genotyping AssayによりSNPジェノタイピングを分析しました。剖検および病理学の所見と組み合わせて、各サンプルのmiRNAマーカーの発現レベルと対応する遺伝子のSNPパターンを分析しました。SNP遺伝子型、各パターンとmiRNA発現量、miRNAマーカー、動脈硬化リスクの統計解析による相関関係を分析した後、miRNAマーカーと動脈硬化のリスクを評価しました。 サンプル収集と分析方法における過去の経験と成績は、実験の遂行に大きな保証を提供しました。
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今後の研究の推進方策 |
miRNA発現量の解析は血液の溶血により影響を受けやすいので、死後一週間以内の死体から試料の最終は基本的に条件です。今後、さらにこの条件を満たしている検体の数を増やし、より多くのmiRNAマーカーを解析することで、血液中のマイクロRNA発現量の変化、対応する遺伝子パターン及び動脈硬化性心疾患のリスクなどを明らかにしたいと考えています。 これまでの研究で、冠動脈硬化症と性別、年齢及びSNP多型との関連性について統計的な解析を行う必要があると考えています。調査サンプルにより、miRNA に関連する遺伝子 (SNP)パターンが部分的に明らかになりました。異なるSNPパターンは、冠動脈アテローム性動脈硬化症のリスクが異なります。最終年度は、採取したサンプルのmiRNAマーカーの遺伝子パターンを可能な限り解析し、それに対応する血中miRNAの発現量を測定し、統計ソフトを用いて冠動脈疾患のリスクを評価します。 得られた結果は論文にまとめ、国際的な専門誌に投稿します。また、国際学会に出席してこれらの研究結果を報告する予定です。
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