研究課題/領域番号 |
21K10538
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
|
研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
阿久津 智子 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (50356151)
|
研究分担者 |
櫻田 宏一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10334228)
横田 勲 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20761414)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | mRNA / マルチプレックスRT-PCR法 / TaqMan RT-qPCR法 / 網羅的 / 月経血 / 鼻汁 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、鑑定実務への導入が可能な、包括的で汎用性の高い体液の識別検査法の確立を目指し、これまでに、血液、唾液、鼻汁、精液および膣液に対する16-plex RT-PCR系を構築している。本研究課題では、16-plex RT-PCR系における鼻汁と唾液との識別力の改善および月経血への適用拡大のため、新たなマーカーの探索およびRT-PCR系の構築ならびに16-plex RT-PCR系への統合を行う。さらに、鑑定実務を想定した微量、斑痕、分解試料等を用いた法科学的検証を行うことで、分子生物学的手法が適用可能な法科学的体液資料を網羅するマルチプレックスRT-PCR法による体液の識別検査法を確立する。
|
研究実績の概要 |
昨年度までの検討で、鼻汁mRNAマーカーを含めた網羅的マルチプレックス化は困難と考えられたため、月経血マーカーについては、その汎用性を考慮し、膣液および血液マーカーとのマルチプレックスRT-PCR系(Menst-Vaginal-Blood Multiplex)を構築することとした。 TaqMan RT-qPCR法により、検出性および特異性が高いことを確認した月経血マーカー3種に、膣液マーカー5種、血液マーカー3種及びリファレンスマーカー1種を加え、分離改善のためのプライマー配列の変更および増幅バランス改善のためのプライマー濃度の最適化を経て、各マーカーに対して陽性判定カットオフ値を設定した。 構築したMenst-Vaginal-Blood Multiplexについて、各種体液試料を用いて特異性を検証したところ、標的体液に対するマーカーが2種類以上陽性の場合に、月経血、膣液および末梢血を特異的に識別可能であった。本手法は、性犯罪の立証において、TaqMan RT-qPCR法による月経血マーカーの検出と比較して、膣液あるいは末梢血の混入を確認できる点が優れていると考えられた。 Menst-Vaginal-Blood MultiplexおよびTaqMan RT-qPCR法は、希釈試料からの検出性がほぼ同等であり、月経血に唾液または精液が混入した試料においても問題なく月経血の判定が可能であった。しかし、両検査系ともに、陳旧試料においては、特に湿度の影響により、いずれのマーカーも検出性が低下したため、陳旧試料への適用を考慮すると、mRNAよりも堅牢なマーカーを用いた検査系の構築も重要であると考えられた。 鼻汁については、新たなマーカーの同定には至らなかったが、mRNAでは検出性が低いBPIFA1のタンパクマーカーについて、ELISA法による検出系を構築した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画のうち、令和5年度は ④鑑定実務を想定した各種試料を用いた検証 を実施予定であり、そのうち、微量、斑痕、分解、混合試料等を用いたMenst-Vaginal-Blood MultiplexおよびTaqMan RT-qPCR法の適用範囲の検証を実施したが、併せて実施予定であった、Menst-Vaginal-Blood Multiplexによる血痕の由来や出血部位推定の検証については、様々な由来の血液試料の収集が難航し、十分な検証を実施できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
様々な由来の血液試料を収集し、Menst-Vaginal-Blood Multiplexにより、血痕の由来や出血部位推定が可能か検証を行う。各種法科学的試料の模擬試料を作成し、Menst-Vaginal-Blood Multiplexの適用範囲や限界を把握する。
|