研究課題/領域番号 |
21K10643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
北島 泰子 東京有明医療大学, 看護学部, 准教授 (30434434)
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研究分担者 |
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
緒方 大樹 東京工業大学, 情報理工学院, 特任准教授 (80598037)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 看護理論 / 看護学史 / 聞き書き / 看護の学問史 |
研究開始時の研究の概要 |
ある学問を始めようとしたとき、その学問の学問史を学ぶ意義は学問体系の見取り図を描くという役割がある。しかし看護学においては、看護学史は初学者の必修科目となっていない。また看護理論の台頭と衰退が説明づけられまとめられたものがない。本研究の目的は看護学史をまとめることである。前研究では、人々の語りを集め、看護学史の一部となりうる看護に大学教育が導入された黎明期について調査できたが、看護教育に導入された種々の理論がどのような循環を経て今日に至ったかは明確にできなかった。本研究では前研究に引き続き、看護教育に種々の理論を導入しようと尽力した人々が直接語る言葉を収集し、現存しない看護学史を形成する。
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研究実績の概要 |
本研究は、我が国の看護教育に種々の看護理論を導入しようとした人々が直接語る言葉から看護の学問史を形成する研究である。2022年度からは看護教育に種々の看護理論を導入した方々のところへ直接足を運び、なぜその理論を日本の看護学に導入しようと考えたのか、既存の理論では何が説明付けられなかったのか等を聞き、日本に導入されている看護理論を系統立てて整理することを目的としている。 まず、実際に日本に欧米の看護理論を導入した方に、上記内容のインタビューを行った。そこで明らかになったことは、筆者らが想定していた「既存の看護理論では説明がつかないような学問的問題に遭遇し、それを解決するために新たな看護理論を日本に導入する必要に迫られた」という理由で欧米の看護理論を日本に導入したのではないということであった。まだ日本に紹介されていない欧米の複数の看護理論の中で、訳者が強く興味を持った理論であったため日本に紹介したという理由であったり、知り合いに薦められて翻訳をやってみたことから日本に導入された看護理論であったりなどの理由が明らかになった。以上のことから、本研究の目的を達成するためには、他の欧米の看護理論を日本に導入した方々へのインタビューを進めるだけではなく、他の学問分野の専門家であり看護学を近くで見てきた方々にもインタビューをすることとした。一般的に学問が発展していく過程は「理論モデルの構築、演繹、検証、理論モデルの改善、演繹、検証という循環」を繰り返すことであるといわれている。一方看護学にはそれがないとすれば、中からではなく外から看護学を見てきた方々に話を聞くことにより、日本に導入された複数の看護理論のそれぞれが何を目的として導入された理論であるのかを推測できると考えた。看護学と哲学について興味深い話を聞くことができたことから引き続き2023年度も他の学問分野の専門家に話を聞くこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度はインタビュー調査を始めることができたが、予定していたような数のインタビューを実施することが出来なかった。直接会って行うインタビューであるため、新型コロナウイルスの感染が完全に収束しないことも研究が遅れる原因となっていると考える。また、少ないインタビューではあったが、その結果から本研究の目的を達成するためにはインタビュー対象者の範囲をもう少し広げる必要があると考えられ、そのためインタビューを依頼する対象者の選定や約束を取り付けるまでに時間を要しており、研究課題の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に行った、実際に日本に欧米の看護理論を導入した方へのインタビューの結果から、本研究が目的としている日本に導入された種々の看護理論を系統立てて学問史をまとめることが可能なのか、という疑問が湧いてきた。その理由は、当初筆者らが想定していた「既存の看護理論では説明がつかないような学問的問題に遭遇し、それを解決するために新たな看護理論を日本に導入する必要に迫られた」という理由で欧米の看護理論を日本に導入したのではないということが明らかになったからである。しかしながら2022年度のインタビューは数が少なかったことから、これらのインタビューをもって研究の方向性を結論付けることは早計であり、引き続き他の欧米の看護理論を日本に導入した方々へのインタビューを継続する。加えて、他の学問分野の専門家であり看護学を近くで見てきた方々にもインタビューをすることとする。自身の専門学問領域と看護学の比較も交えて、日本に導入された複数の看護理論のそれぞれが何を目的として、何を狙って日本に導入された理論であると考えるのかを語ってもらうこととする。 前者と後者のインタビューを許可をいただける限り実施し、語った言葉から日本に導入された看護理論を分類し整理していく。
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