研究課題/領域番号 |
21K10675
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
山中 真 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (30507504)
|
研究分担者 |
梶原 弘平 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 准教授 (10437626)
安本 卓也 椙山女学園大学, 看護学部, 准教授 (50566099)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 看護技術 / 聴診技術 / 看護管理 / 看護基礎技術 |
研究開始時の研究の概要 |
熟練看護師の持つ聴診技術は、非侵襲的に患者状態の把握が可能であり、病状識別や状態変化の早期発見などに大きく関与している。しかし、聴診技術の根幹となる音を捉える技術の可視化は殆ど行われていない。 そこで、聴診時における病状識別の規準音を可視化させることを目的として、モデル心音を用いた音響解析を行った。その結果、疾患を特定する基準音の判断ポイントが周波数解析結果と異なること、熟練者の聴診技術には、事前に疾患を想起し、基準音を意識し探しに行く思考過程が関与していることを明らかとした。 本申請の目的は、聴診技術の思考過程と臨床現場における聴診技術の更なる可視化を行うことである。
|
研究実績の概要 |
聴診技術の可視化についての成果報告を最終年度の目標として提示していた。最終年度は主に被験者から得られたインタビュー内容についてのデータ分析をすすめるとともに追加での実験を実施し、得られた成果を学会誌に投稿しアクセプトを受けている。 本年度では主に、熟練看護師の聴診時における音による判断ポイントを可視化することを目的として実験研究を進めており、その中でそのポイントとなる判断点を熟練者がどのように認知しているかを熟練者のインタビュー内容からテキストマイニング手法を用いて、それぞれの被験者の認知構造を発言から分析した。調査を進めた結果、音の判断ポイントには基盤となる知識から生まれる予期的な病状認知と音を起点とした確認的な病状認知の二つがあることを数多くの被験者の発言から明らかとした。このことから、熟練者はより複雑な認知構造をもって音の診断をしていることを示した。 本年度の調査を通じて、熟練者の聴診時における心音認知とその際に行う指導時の発言には特徴的な相似点があり、より高度な認知になるほど発言内容にオノマトペ表現が増えることを明らかとした。これは、より高次な認知を言葉で表現する際に短いセンテンスで意図を伝えるために無意識化に使用しており、発言者の多くが意図したものではなかった。 本申請調査を通じて、熟練者の判断時の認知構造と発言傾向を明らかとしたことで、より可視化して熟練技術を伝えることの重要性を明らかとした。この結果については、学会誌に投稿しアクセプトされている。次年度は学会での発表を進めるとともに追加での実験を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終年度となる本年度は、主に学会発表や追加での実験を予定していた。しかし、コロナによる被験者依頼が難航しとことなどによって対象者を集める点において研究の遂行が遅れたため実験を中心に実施することとなった。 9月時点において、実験成果を学会に投稿し2月時点においてアクセプトされたため本申請研究において明らかとしたい一部については成果の公表を行うことができたものの、広く学会への発表などは進んでおらず次年度に最終年度に予定していたことを進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、機器を用いた判断点の可視化とその効果について検証を進めるとともに可視化を行いながら指導することでの教育的効果についての検証を進める予定である。 加えて、投稿した内容についての学会発表などを行い広く研究成果についての公表を進める。最終年度となる本年度は、本申請研究の成果を広く認知することを目的とするとともに共同研究者と成果を共有しより幅広く音を用いた熟練看護師の技術を可視化させることを目的とした研究の応用を検討していく。
|