研究課題/領域番号 |
21K10689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
中村 博文 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90325910)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Resilience / 統合失調症 / 家族 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、統合失調症患者の家族に対し、Resilience(レジリエンス;精神回復力)に影響をおよぼす要因について、因子モデル・構造モデルの検証を行い、家族のQOL確立のために看護者がどのような関わりを持つべきであるのかを明らかにすることである。本研究を行い、統合失調症患者家族のResilienceに影響を及ぼす要因を把握し、家族のQOL向上に役立てていきたい。これらのことを明確にすることで、今後の精神障がい者家族の地域における健康支援に貢献し、健やかな生活を維持し続けるためにはどのような支援が必要なのかを提言したい。
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研究実績の概要 |
統合失調症患者の回復を支える大きな要因のひとつに家族があげられる。本研究の目的は,国内の先行研究から統合失調症患者をもつ家族のresilienceを把握し,その強化のためにどのような支援が必要なのか示唆を得ることである。 研究方法として医学中央雑誌Web版を用いて,キーワードを「統合失調症」「家族」「レジリエンス」,期間を2013年~2023年,論文種別を原著論文とした。目的に合致するように選出し,論文全体を熟読し,統合失調症の家族におけるresilienceについて明らかにされている内容を抽出した。検索の結果,7文献が抽出された。 内容を分析した結果,4つのカテゴリーが抽出された。家族のresilienceという内容では,「気持ちを整理する時間」「認知の転換」「コントロール」「ケアの提供に伴う辛さ」というような『家族の気持ちを静める』ということが行われていた。つぎに「病気と対峙」「親としての覚悟」では『病気を受けとめる』ことがresilienceにつながっていた。そして,「継続した支援」「周囲の人からの支援や支え」「人と暖かい交流を持つ」は『暖かみのある継続した支援』とカテゴライズでき,最後に「当事者の成長や当事者が前向きに生活している姿」「社会向かって家族を開く」「希望」は『未来に向かっての再生』というカテゴリーに抽出された。 考察・結論として統合失調症患者の家族resilienceは,病気が発症して家族がその症状に翻弄して,家族が動揺しているような時期に家族の気持ちを整理し,その思いを聞き,家族の思いを汲むような情緒的支援が必要である。そして,そのような支援があるからこそ,明日に向かって歩み出せる力を家族自らが紡ぎだすことができるのではないかと考える。統合失調症の家族におけるresilienceは家族という関係の深さゆえにその支援の柔らかさが求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度前半は,統合失調症患者の家族に対して,質問紙調査を行う予定であった。しかし,調査を依頼する家族会等の運営が,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により対面での会合が中止になることが多かったため,実際の質問紙調査を行うことができなった。 2023年度後半に入り,徐々に家族会の会合などが,行われるようになり,研究の進捗状況も進んでいる。昨年度後半からは文献検討などを行い,その結果を学会発表することが可能となった。今後調査研究に移行して研究目的を達成していきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究1 研究目的:統合失調症患者家族が日常生活の中で抱えている,問題点や支えになっている事項などを調査し,統合失調症患者の家族レジリエンス尺度開発のための,予備的調査を行い,統合失調症患者家族レジリエンスの実態を把握する。研究対象:首都圏の統合失調症患者家族約100名に対して,質問紙調査を行う。調査内容・方法:調査内容として,一般的なレジリエンス尺度,患者の精神症状,家族の生きがい,日常の生活で困っていること・楽しいと感じることなど,人口統計学的因子;患者・家族(年齢,性別,家族構成,婚姻状況,教育年数,住居形態など)を調査する。 研究2 研究目的:統合失調症患者の家族レジリエンス尺度の開発を行い,信頼性・妥当性を検証し,調査に耐えうる尺度を作成する。研究対象:首都圏の統合失調症患者家族約300名に対して,質問紙調査を行う。調査内容・方法:統合失調症患者家族レジリエンス尺度,一般的なレジリエンス尺度,WHOQOL26(QOL尺度),自己効力感,自尊感情,健康統制感,情緒支援ネットワーク,日常苛立ちごと,患者の病気のこと(病名,発症年齢,入院の回数,精神症状,内服薬による副作用など),人口統計学的因子;家族及び患者(年齢,性別,家族構成,婚姻状況,教育年数,住居形態など)を調査する。
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