研究課題/領域番号 |
21K10696
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
山本 道代 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (80736273)
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研究分担者 |
山本 武志 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (00364167)
高橋 順子 天使大学, 看護栄養学部, 准教授 (90451400)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 高齢者 / 角質水分量 / 非接触性皮膚保湿ケア / 噴霧 / 皮膚保湿 / 保湿ケア / 寝たきり高齢者 / 非接触型保湿ケアプロトコル |
研究開始時の研究の概要 |
寝たきり高齢者の皮膚は乾燥しており、高齢・活動性の低下・皮膚の乾燥はいずれも摩擦などで発生するスキン-テアのリスク要因である。さらに、一旦受傷すると乾燥した皮膚は治癒に時間がかかるため、本人の苦痛が長引くことはもちろん、治療や処置に時間的・経済的負担が生じる。これらを予防するためには、健康な皮膚を維持する保湿ケアが必要である。 スキンーテア予防のために、保湿剤を1日2回、もしくはそれ以上の塗布が推奨されている。しかし、塗布の頻度を増やすと保湿は維持できるが、同時に寝たきり高齢者の脆弱な皮膚に摩擦の機会が増える。 本研究の目的は、寝たきり高齢者に対する「非接触型保湿ケアプロトコル」の作成である。
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研究実績の概要 |
皮膚は加齢によって乾燥し,菲薄化するため傷つきやすくなる.一旦傷つくと治りにくいため,痛みや処置が長引くことで高齢者の身体的苦痛や経済的負担が増大する.それらを予防するために,保湿で皮膚を保護する必要があり,保湿効果を維持するために保湿剤を連用する必要がある.しかし,高齢者の皮膚は清拭のような弱い刺激でも乾燥しやすいため,皮膚に刺激を与えない保湿方法が必要であると考えた.高齢者の中でも,寝たきり高齢者は皮膚の乾燥が著しく,かつ自分で保湿ケアを行えない.そこで本研究は,寝たきり高齢者に対する「非接触型保湿ケアプロトコル」の作成を目的とした. 2023年度は,2022年度に実施した在宅高齢者を対象として実施した調査結果をまとめた.調査内容は,従来行われている保湿剤を皮膚に触れて「塗布」する方法と,皮膚に触れない「噴霧」する方法によって,保湿効果や保湿効果の持続性に違いがあるか否かを,保湿剤使用前・使用直後・5分後・15分後・30分後・60分後の角質水分量を測定した.調査によって得られた結果は,塗布と噴霧の保湿効果や保湿効果の持続性に有意な差が見られなかった.また,噴霧する方法は,保湿剤使用前よりも60分の間低値を示すことはなかったが,塗布する方法は,保湿剤使用前よりも角質水分量が低値を示すことがあった.高齢者の皮膚の特性に鑑みると,皮膚に触れない噴霧を選択する利点が示唆された.これらの結果は,老年看護学会に発表することが決定しており,また,論文として学術誌に投稿し査読を受けている最中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度にはスプレーボトルの選定,保湿剤の選定,噴霧手技の決定を予定どおり行った.しかし,寝たきり高齢者を対象とする調査は,コロナ禍のため入院・入所している施設の協力が得られなかった.寝たきり高齢者の易感染性や脆弱性を考慮すると,外部の研究者に立入制限をする施設判断はやむを得ないものであったと考える.研究者が立ち入らない代わりに,勤務している職員に角質水分量の測定手技や実施プロトコルを伝える代替案も考えたが,感染予防対策に忙殺されている職員に負荷をかけることはできないと判断し,研究の実施に至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,寝たきり高齢者が入院・入所している施設で研究を実施する予定である.高齢者本人への噴霧による保湿効果はもちろんのこと,職員による手技の評価もおこない,保湿ケアの習慣化にむけた取り組みをしたい.
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