研究課題/領域番号 |
21K10794
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
久保 江里 宮崎大学, 医学部, 助教 (60825355)
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研究分担者 |
末次 典恵 福岡大学, 医学部, 教授 (60363355)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 造血幹細胞移植 / 運動療法 / 身体活動 / QOL / 運動支援 / セルフマネジメント / 身体活動量 / がん患者 / 身体機能低下予防 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、造血幹細胞移植による治療を受けた患者が入院から退院後の生活の中で、自分自身でコンディションを整えながら運動に取り組むための多職種協働による運動支援プログラム試案を作成することである。本研究は、運動支援により移植後患者の身体機能低下予防とQOL向上を目指す研究であり、①移植患者の移植前後と退院後の生活における身体活動の実態と関連要因 ②看護師とセラピスト双方の移植患者に対する運動支援促進に向けたニーズの2点に着目する。そこから移植後患者の退院後の生活再構築を見据えた多職種協働による運動支援プログラム試案を作成する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、造血幹細胞移植患者(以下、移植患者)の移植前後と退院後の生活における身体活動量と運動への取り組みについて明らかにし、そこから移植患者に対する退院後の生活を見据えた多職種協働による運動支援プログラム試案を検討することである。移植治療期における運動療法の身体的、心理社会的な有効性の多くは海外で検証されており、近年では運動療法は QOL 向上に寄与できる重要な治療の一部として捉えられている。国内では、クリーンルームで実施する運動療法の安全性や有用性が検証されているが 海外に比較すると運動療法の介入効果に関する国内の研究は少ない状況にある。 令和5年度は、造血幹細胞移植患者に対する運動療法の支援と方向性を明確にすることを目的に、造血幹細胞移植患者に対する運動療法の介入効果を検証した海外文献を検討した。造血幹細胞移植患者に対する運動療法は、身体的および心理社会的健康の複数の要因の改善につながっていた。特に移植中・後の運動療法の有用性は高く、運動耐容能や倦怠感減少、QOL改善に効果をみとめることが明らかになっており、移植後早期の運動耐容能はその後の社会復帰の可能性を高める予測因子になると報告されていた。移植の合併症による苦痛を伴う複数症状は長期的に継続するため、運動の重要性についての知識向上や症状をマネジメンしながら運動に取り組むための教育的支援が必要であり、運動を定着させるためには、適切に症状に対処し、症状負担を最小限に抑えることが課題であることが明らかになった。文献検討より造血幹細胞移植患者に対する運動支援の方向性と課題が明らかになったことで、国内における造血幹細胞移植患者の運動の実態を明らかにするための手がかりとなり得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
造血幹細胞移植患者に対する運動療法の有益性は十分に確立されている。しかし、実際の臨床上では運動療法の定着には至らない現状があり、その要因として、患者自身が移植後の身体的な衰えを自覚するまで運動の必要性に関する認識が欠如していたこと、運動の有益性についての認識はあるものの、身体的・精神的な症状負担は身体活動の障壁になることが報告されている。 令和5年度は、造血幹細胞移植患者に対する運動療法について、セラピストと看護師に実態調査を予定していたが、運動療法の定着に至らないことに着目し、研究内容の精緻化および現状に即した運動支援の方法について検討する必要があると考え、造血幹細胞移植患者に対する運動療法の介入効果を検証した海外文献を検討した。造血幹細胞移植患者に対する運動に関するこれまでの研究は、リハビリテーションの一環としての運動に焦点を当てた研究に限られており、移植治療期の患者自身が運動をどのように捉え、どのような運動支援を必要としているか、リハビリテーション以外での運動を含む移植治療期の運動の実態は明らかになっていない。 そこで、研究計画を変更し、造血幹細胞移植患者を対象に調査し、移植治療期における運動に関する現状と課題を把握することにした。現在、調査に向けて準備中である。当初の研究計画に遅延が生じ、現時点で調査に至っていないため「遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は造血幹細胞移植後6ヶ月以上経過し、かつ5年未満で外来に通院中の患者を対象に半構造化面接による調査を行う。調査目的は造血幹細胞移植患者の移植治療期の運動について実態を明らかにすることであり、具体的には①移植治療期の運動状況 ②移植治療期の運動の捉え方 ③患者が必要と考える運動支援について明らかにする。 本研究において、移植治療期とは造血幹細胞移植目的での移植前・移植中・移植後の入院期間とする。運動とは、移植目的での入院期間中のリハビリテーションによる身体運動およびリハビリテーション以外での身体運動とする。移植治療期の運動の実態を明らかにすることは、運動の有用性が高いとされる移植治療期における運動に関する現状と課題を把握し、患者のニーズに即した運動を継続するための教育支援の一助になると考える。
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