研究課題/領域番号 |
21K10810
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 駒沢女子大学 |
研究代表者 |
岡 京子 駒沢女子大学, 看護学部, 講師 (30845045)
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研究分担者 |
畠山 卓也 駒沢女子大学, 看護学部, 准教授 (00611948)
松尾 真規子 駒沢女子大学, 看護学部, 准教授 (10301706)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 排泄ケア / 精神科入院患者 / おむつ / 看護介入 / 精神科 / 精神科病院 / 実態調査 |
研究開始時の研究の概要 |
精神科入院患者の長期間にわたるおむつの使用が、当事者の望む社会生活を阻む要因の一つになっているという前提に立ち、精神科病院でのオムツ使用状況の実態を調査する。2021年度は精神科に勤務する看護師を対象にインタビュー調査を行い、精神科におけるおむつ使用要因、ケアを困難にさせる要因を抽出する。2022年度は精神科病院200施設、看護師1000名を対象におむつ使用状況の実態を調査し、精神科病院における排泄ケアの特異性と課題を明らかにする。 さらにそれらの要因を踏まえ、おむつ離脱に向けた看護介入モデルの作成を視野に入れて精神科に特化した排泄アセスメントツールを作成することを目的とする。
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研究実績の概要 |
精神科入院患者のおむつ使用に至る経緯とおむつ離脱に向けた看護のかかわりについて明らかにするため、看護師24名を対象に過去1年間におむつを使用した患者についてインタビュー調査を行った。 語られた34例は、20代~80代、男性20名、女性14名、入院期間1年以上13名、病名は統合失調症が最も多く19名、身体拘束16名・つなぎ服着用6名であった。意思疎通が困難、易怒性・粗暴性、拒否・抵抗、不安・焦燥感、強迫観念、適応能力の低下、気分の波により生活自立度が変動、整容に無頓着、多飲水、転倒リスクが高い、という特徴があり、14例はおむつ離脱に向けて改善傾向にあった。 おむつ使用に至る経緯は、身体拘束、向精神薬や下剤の投与といった【排泄動作・機能を制限する治療上の処置】【下部尿路症状の出現】【身体機能の低下による体動困難】【精神症状による排泄動作の障害】患者・看護師の【失禁に対する不安や心配】であった。 改善傾向にあった14例では【看護チームの意思統一がされていない】【排泄動作・機能を制限する治療上の処置】という課題があり、【身体拘束の解除】【患者の状態改善】【排泄の自立を患者が希望】【家族の希望や負担を考慮】【看護計画の再検討】をきっかけにおむつ離脱を目指し、【おむつの使用による患者の心理的・身体的影響を最小限にする】【患者と協働関係を構築する】【排泄の自立に向けたチームづくり】【下部尿路症状に対するケア】【排泄動作のリハビリテーション】【排泄自立に向けた環境調整と排泄用具の選択】【薬物療法の生活への影響を査定し適正な使用を提案】というかかわりがあった。 身体拘束に伴う一時的なおむつ使用が慢性的使用につながる可能性があること、おむつの使用が患者に与える心理的・身体的影響や患者の適応能力を査定し、安易な使用は避け早期離脱を図ること、おむつの使用を最小限にする組織的方略が必要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査の目標数を30名としていたが、コロナ禍にあり、インタビューに協力してくれる看護師を集めるのに時間がかかり、分析開始、論文作成が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査の結果をもとに質問紙を作成し、国内の精神科病院におけるおむつ使用状況の実態調査を実施する。 今回のインタビュー結果から、排泄ケアに関する委員会の設置や取り組み、身体拘束中に関するケア方針などの組織的な取り組みがおむつ使用状況に関連する可能性が示された。そのため、調査では、施設のおむつ使用状況、行動制限実施状況、平均在院日数、看護要員の人数等を調査する組織向けの調査票と、病棟で提供されるケア内容を調査する調査票の2種類を作成し、調査を実施する。
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