研究課題/領域番号 |
21K10829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
松本 裕子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (20633639)
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研究分担者 |
諏訪 亜季子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (00571895)
祖父江 育子 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (80171396)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 看護学 / 生涯発達看護学 / 小児代謝・栄養学 / 発症予防 |
研究開始時の研究の概要 |
先天代謝異常症児の健康管理方法が十分に検討されていない背景として、診断できる先天代謝異常症が20疾患以上あり、各疾患が稀少疾患、同一疾患の重症度による個人差、病期(慢性期・急性期・発作時)や年齢・発達による対応の違いがある。そこで、本研究では、①先天代謝異常症児の健康管理に必要な共通の項目を明らかにし、②基本となる情報整理・記入のためのフォーマットを作成する。さらに、③疾患や児の年齢・発達に合わせて情報や記録の項目を家族自身が取捨選択できる「ポートフォリオ」形式のフォーマット作成し、④健康管理ツールとしての活用性を検証する。
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研究実績の概要 |
先天代謝異常症は、2014年拡大新生児マススクリーニングの制度化によって発症前の発見率が向上している。先天代謝異常症児の正常な発育のためには、平常時の急性発作予防、急性発作時の緊急対応の両方が重要であり、家族の専門的な素早い対応が必須である。しかし、先天代謝異常症児の健康管理(疾患管理と発達段階に合わせた育児による発育の促進)に関する研究は少ない。先天代謝異常症児の健康管理方法が十分に検討されていない背景として、診断できる先天代謝異常症が20疾患以上、各疾患が稀少疾患、同一疾患の重症度による個人差、病期(慢性期・急性期・発作時)や年齢・発達による対応の違いがある。 そこで、先天代謝異常症児の健康管理に関する実態を把握し、健康管理に必要な共通の項目を明らかにするため、アンケート調査を計画した。先天代謝異常に関する文献が限られることから、まず慢性疾患患児の親の療養行動に関する尺度、医療者とのコミュニケーションに関する尺度の使用について検討した。次に、医師へのインタビュー結果から児の症状コントロールに影響していると語られた要因や親の対処行動を追加した。 2022年には、これらから試作したアンケートの内容を当事者による確認、プレテストを行った。その後、Web・紙面(郵送法)によるアンケート調査を実施した。対象は、新生児マススクリーニング対象疾患と診断され、患者登録システムに登録いている家族とした。現在、回収したデータを入力・解析している。この結果は、国内の先天代謝異常症の患児家族の療養状況を明らかにし、患児家族自身が健康管理をより効果的に行えるための健康管理ツールの枠組みを検討するために役立てることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度研究計画について、児の発育や児とその家族の生活に寄り添う先天代謝異常症児の健康管理の枠組みが確立されておらず健康管理に関する追加の調査計画の立案・実施が必要となったこと、新興感染症による業務量・内容の変更から研究に係るエフォートの大幅な修正が生じたことから、研究全体が遅延していた。そのため、当初研究計画に加え、2022年10月から追加配分により計画を一部変更・追加し、先天代謝異常症児の健康管理に必要なコンテンツを総合的に検証するためのアンケート調査を行った。現在、アンケート調査の分析を行っており、計画の遅延は解消されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
疾患管理と育児支援の両方の視点をもつ健康管理ツールを作成することを目的としている。そのため、2023年度中にアンケート調査結果の分析により、①平常時とSick Day時の対応(在宅での治療やモニタリング、子どもの感情への対応等)、②親の疾患・治療(受診頻度や検査データ、医師からの指示内容等)の認識、③子どもの発達状況の認識について、実態を明らかにし、疾患や治療、年齢による特徴を分析する。具体的には、先天代謝異常症児をもつ親を対象とする養育状況の実態調査により、児と親の社会生活を中心とした健康管理上の課題やニーズ、強みを明らかにし、健康管理の枠組みを検討する。さらに、当初研究計画のスーパーバイズにより明らかになった児の平常時・急性増悪時の予防や管理に必要な健康管理の項目と併せて総合的に検証することで、より詳細に児と家族によって効果的な健康管理ツールのコンテンツを解明する。 また、2023年度は、当初研究計画としていた実証的研究によるポートフォリオ型健康管理ツールの評価・改良を変更し、2022年度に検証した健康管理ツールのコンテンツを専門家や当事者グループ代表者を対象としたデルファイ法によりブラッシュアップする。健康管理ツールのコンテンツ作成過程に変更が生じるものの、研究目的であるポートフォリオ型健康管理ツールの作成に対する影響は最小限である。2024年度は、実装研究によりポートフォリオ型健康管理ツールの活用性を検証する。さらに、最終年度である2025年度は、先天代謝異常症児のポートフォリオ型健康管理ツールの費用対効果について考察し、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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