研究課題/領域番号 |
21K10846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 兵庫県立尼崎総合医療センター(研究部) |
研究代表者 |
田口 奈緒 兵庫県立尼崎総合医療センター(研究部), その他, 医師 (90813056)
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研究分担者 |
荒木 智子 大阪行岡医療大学, 医療学部, 助教 (70438109)
林 知里 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (50454666)
片岡 裕貴 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10814379)
大岡 由佳 武庫川女子大学短期大学部, 心理・人間関係学科, 准教授 (10469364)
遠藤 佑子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (70822766)
福本 環 日本福祉大学, 福祉社会開発研究所, 研究員 (40650619)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | トラウマインフォームドケア / メンタルヘルス / 周産期 / ケアプロトコル / 産後うつ / 流・死産 |
研究開始時の研究の概要 |
母児の救命のための医療行為が患者にとっては「バーストラウマ」と呼ばれる心理的外傷となることがあり、その後のメンタルヘルスに深刻な影響を与える。本研究ではアートやヨーガでの患者の語り、およびナラテイブなインタビューを通して妊産婦のトラウマ体験を医療者にフィードバックし、ケアに反映することを目的とする。 トラウマに配慮した医療者の態度や環境を明らかにしたケアプロトコルの実施よって、患者のメンタルヘルスを回復し医療者との信頼関係を醸成することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究ではアートやヨーガでの患者の語り、およびナラテイブなインタビューを通して明らかになった妊産婦のトラウマ体験を医療者にフィードバックし、ケアに反映することを目的とする。トラウマに配慮した医療者の態度や環境を包含したケアの実施によって患者のメンタルヘルスを回復し、医療者との信頼関係を醸成することを目指すものである。7名の研究者により下記3つのステップを相互補完的に進めている。 ①患者からのトラウマ体験の収集 ②トラウマインフォームドケア研修およびワークショップ ③ケアプロトコル開発前後の評価 2023年度も①産科病棟の入院患者に対してアートまたはヨーガプログラムを行い、入院患者の心理状態とプログラムの効果について、POMS2およびフェーススケールにより定量的評価を行い、アンケートにより定性的評価を行った。これは患者自身が入院や出産をどのように体験しているかを医療者にフィードバックするための「語り」を収集するステップである。2023年度は特に比較対象としてプログラムに参加しなかった患者のデータも精力的に収集した。また②2022年度の研修に続く形で、尼崎総合医療センターの産科病棟に勤務する医療者向けにトラウマインフォームドケアに関するワークショップを2023年10月25日および2024年1月29日に開催した。③2024年2月には本研究開始の2021年と同様のアンケートを産科病棟に勤務する医師、助産師、看護師を対象に実施し、3年間での変化を検討した。2022年度は兵庫県産科婦人科学会、日本母性衛生学会、日本女性医学学会、アートミーツケア学会で成果を発表し、「トラウマインフォームドケアを援用した妊産婦支援」として精神科治療学vol.38(12).2023に論文掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数のプロジェクトが同時進行し、工程が多いため研究者全体だけでなくプロジェクトごとに定期的にミーティングを行い、研究者間の意思疎通を図り、役割分担と進捗状況を共有している。 ①患者からのトラウマ体験の収集に関しては、20-30症例のリクルート目標のうち2021年9月から2023年12月までに75症例でアートまたはヨーガプログラムを実施し、不参加者14名と比較することができた。ナラテイブな語りを質的効果とし、定量的な効果と併せて各種学会、論文投稿で成果を発表することができた。 ②3回のワークショップを経て、産科病棟に勤務する医療者の中で、周産期のトラウマインフォームドケアなケアプロトコル開発のための土台部分が醸成された。 ③この結果、プロトコル開発前(2021年)と比較するためのアンケートに多くのスタッフから回答を得ることができた。今後、アンケート結果を解析し、並行して最終年度である2024年度中にケアプロトコルを完成させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の3年間で周産期メンタルヘルスケアをめぐる環境は大きく変化した。そのなかでトラウマインフォームドケアに注目し、トラウマに配慮したケアプロトコルの開発を目指した実践と調査の結果として得られたデータやインタビューを整理し、学会および論文にて発表を行う予定である。 ①TICプログラム(アート/ヨーガ)の量的/質的分析を行い、その有用性をもってアートやヨーガによる産科入院患者への介入を病院として継続できる方法を模索する。 ②トラウマインフォームドケアに関心のある産科スタッフとともに、本研究の知見を踏まえたケアプロトコルを完成させる。 ③トラウマインフォームドケアの概念が研究期間を通じて浸透したかを検証し、現在投稿準備中のフォーカスグループインタビュー結果に、さらなる調査を加えて海外誌に投稿する予定である。 本研究を進めるにあたり、流産や死産を経験した女性は(医療者自身も含め)常に産科病棟に存在し、患者とその家族へのケアについて医療者の関心が高いことが明らかになった。本研究のメインテーマであるトラウマインフォームドケアを実装していくためには、患者だけでなく医療者のトラウマにも着目する必要性があり、今後は周産期医療に従事する医療者のメンタルヘルス改善に寄与する調査研究を行っていく計画である。
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