研究課題/領域番号 |
21K10855
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
照屋 典子 琉球大学, 医学部, 教授 (10253957)
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研究分担者 |
前田 縁子 琉球大学, 医学部, 助教 (60887389)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | がん教育 / がん体験者 / 小学生 / 中学生 / がんサバイバー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、沖縄県内小学校におけるがん教育推進の課題(ニーズ)を把握した上で、学校教諭と地域で暮らすがん体験者との連携・協力によるがん教育の推進を図るべく、「がん体験者を活用した児童へのがん教育普及のための授業支援プログラム」を構築し、より効果的ながん教育の提供体制の整備に向けた基盤づくりを目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、①沖縄がん教育サポートセンター(がん教育を推進する市民団体)の設立、②がん教育外部講師養成研修会の開催、評価、③研修会受講生によるがん教育授業のサポートを行った。 ①昨年度のがん教育外部講師研修会受講者2名(がん体験者)が発起人となり、医師、看護師等の関係者に協力を求め、10月26日、「沖縄がん教育サポートセンター」を設立した。メディアを通じて公表したことで、県民へ学校や社会におけるがん教育の必要性、意義について伝えることができたと考える。 ②11月26日、27日、がん教育外部講師養成研修会を開催(沖縄がん教育サポートセンター共催)し、その評価を行った。研修会では、学校教育関係者、国立がん研究センターがん対策研究所長、他県におけるがん教育実践者5名を講師として、学校におけるがん教育の意義、がん教育を行う上で必要とされる知識や心構え、要配慮事項、講師が実践している授業内容等の講話、及び児童生徒へ自身の体験を伝えるワークを行った。受講者は16名であった。受講者14名のアンケート結果では、「学校でのがん教育や外部講師の必要性が理解できた」「児童生徒へ伝えるときの留意点やわかりやすい伝え方について学ぶことができた」と好評であった。自身のがん体験を伝えるロールプレイについては「緊張したが、子供たちへ向けて話すことがイメージできた」「自分の心の中を整理して言葉にして伝えることが大変なことだがとても意味があると感じた」などの意見が聞かれ、外部講師に対して、12名が「機会があればやってみたい」と回答していた。 ③外部講師養成研修会を受講した2名が、県内中学校2年生を対象に、2023年1月、がん教育授業を実施し、授業担当教諭2名、沖縄がん教育サポートセンター代表1名、研究代表者にて、授業の振り返りを行った。来年度も、同中学校にて、外部講師養成研修会受講生の授業体験を計画することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、外部講師養成研修会受講後、県内中学校にてがん教育授業を実施した2名、及び沖縄県教育庁保健体育課教諭と今後のがん教育の進め方について検討した。その結果、沖縄県のがん教育を推進するにあたっては、学校でがん教育を担う外部講師間の連携体制の構築、また、学校や保護者の信頼を得る上でもがん教育を担う外部講師の拠点となる市民団体の設立が必要ではないか、との結論に達した。そこで、今年10月、がん体験者2名が発起人となり、医師、看護師等の医療関係者にも協力を求め、「沖縄がん教育サポートセンタ―」の設立に至り、研究代表者も理事として関わっている。本センター設立後は、沖縄県教育庁の協力のもと、県内の各市町村教育委員会教育長、各小中学校、県立高校、各教育事務所長等にも、チラシ配布等を通して、周知を依頼し、学校におけるがん教育の推進に向けて、普及啓発を図っている。また、現在、NPO法人化に向けて検討しているところであり、今後は、学校および社会におけるがん教育の推進するためにも、沖縄県教育庁との連携、及び沖縄がん教育サポートセンターメンバとの共催による外部講師養成研修会を継続し、まずは、学校でのがん教育を担う外部講師の増員を図るとともに、外部講師間のネットワークづくり、フォローアップ体制の構築に向けて、順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
文部科学省による学校におけるがん教育は、学習指導要領の変更に伴い、2020年度は小学校、2021年度は中学校、2022年度は高等学校での全面実施という計画が掲げられており、医師やがん経験者等を外部講師として、がん教育のさらなる充実を図ることが謳われている。しかしながら、文科省の全国調査(2022年9月報告)によると、2021年度の沖縄県のがん教育外部講師活用状況は、523校(小中高校)のうち15校(2.9%)にとどまっており、2022年度も小中高校合わせて、わずか10校という状況であった。これを受けて、沖縄県教育庁では、学校教諭を対象としたがん教育に関する研修会を毎年開催している。2023年度は、7月、8月に、中学校、高等学校の保健体育教諭を対象とした研修会が開催される予定だが、その中で、外部講師によるがん教育授業について理解を深め、外部講師の活用推進を図ることを目的として、沖縄がん教育サポートセンターの外部講師経験者3名がこれまで実際に行った模擬授業を紹介することが計画されている。今後は、このような、沖縄県教育庁と沖縄がん教育サポートセンターとの連携、協力体制を図りながら、学校におけるがん教育への外部講師の活用体制の推進を目指したいと考える。また、沖縄がん教育サポートセンターでは、一般市民を対象としたがん教育の普及啓発を目的として、イベントや公開講座等の開催も計画しており、外部講師養成研修会以外の活動についても検討を進めているところである。さらに、沖縄県内のがん教育における外部講師の活用は、本島内の学校に限られていることから、離島におけるがん教育の遅れがあることが考えられる。そこで、今後は、沖縄県教育庁や沖縄がん教育サポートセンターと連携を図りながら、離島地域におけるがん教育の推進についても来年度以降、具体的に計画したいと考えている。
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