研究課題/領域番号 |
21K10882
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大河内 彩子 (井出彩子) 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70533074)
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研究分担者 |
松永 信智 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (10363508)
前田 ひとみ 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90183607)
藤村 一美 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (80415504)
藤岡 徹 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (80770594)
金森 弓枝 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (70781920)
秋月 百合 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (90349035)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ASD / ADHD / VR / 虐待 / 感覚 / 性 / 思春期 / 施設 / 教室 / 学業 / 発達障害 / 女子 / 感覚調整障害 / 自己制御 |
研究開始時の研究の概要 |
発達障害女子の感覚調整障害に由来する困難を可視化し、その困難に応じた支援を成人期の自立を見越しながら行い、二次障害を予防することが重要である。 本研究では、①発達障害のある思春期女子の経験する感覚調整障害とそれに由来する身体・心理・社会的困難を体系的に解明し、可視化する、②可視化された困難に対して、成人期の自己制御につながるセルフマネジメントを促すための看護支援モデルを開発する、ことを目的とする。
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研究実績の概要 |
発達障害児の感覚特性の評価システムの精錬に向けて、発達障害児を対象としたデータ収集を行った。発達障害児の割合の高い児童養護施設や少年院や関連機関の職員から、発達障害女子および男子の対人距離感覚や性被害・性加害に関する情報収集を行った。発達障害を背景にもつ妊産婦の虐待や援助要請の課題、関連機関の連携不足が懸念されたため、研修会を2回開催し、実態把握や支援者とのネットワーク構築を行った。これらの成果を学会発表5件、論文1件として発表した。 発達障害特性を持ち、逸脱行為を行った少年・少女の支援経験のある専門職から、彼らは「他者の気持ちを理解して応用する」ことや「社会的に適切な対人距離を保つ」ことが困難であると語られた。性被害者の手記からの学びを自らの加害事例に転嫁することが難しかったり、他の入所者が知的障害を伴う場合の理解が乏しかったり、親も障害への理解が乏しく愛着が未形成な場合もあることが述べられた。研究参加者は、支援対象の少年少女の認識や対人距離感覚は特異であると考えており、心の理論の未成熟さに起因すると思われた。 発達障害児群(DD)、児童養護施設入所者群(発達障害と虐待経験あり、以下DA)、対照群(TD)の3群を対象として、SCAS(Spence Children's Anxiety Scale、スペンス児童用不安尺度)、MAIA(Multidimensional Assessment of Interoceptive Awareness: 内受容感覚への気づきの多次元的アセスメント)を用いて、自記式アンケートを行った。3群比較でMAIAの自己制御、身体を聴く、信頼するに有意差が認められた。この3項目の2群検定でTD群とDD群で全てに有意差が認められた。DD群、DA群、TD群では不安や内受容感覚の特徴が異なることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)と診断された子ども19名と対照群の子ども7名の参加を得て、VRを用いた視線データや感覚評価尺度を用いたアンケートデータを収集することができた。VR等により多元的に感覚を評価するシステムがほぼ完成したところである。精度を高めたり、汎用性を増すための情報収集を行っている段階である。また、発達障害を背景にもつ女子・男子の性被害・加害の背景にあると考えられる彼らの感覚特性について、多様な現場の支援者にインタビュー調査を実施することができた。さらに、発達障害が背景にあり、援助希求が遅れがちな妊産婦の課題を把握するための情報収集を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
発達障害を背景にもつ女子や女性の身体感覚や性に関する課題を解明し、教育や介入方法を検討する。彼らの性的な関係を仲立ちにした対人関係やコミュニケーションについて、支援者や専門職の語りを分析する。彼らの性に関する思考や行動は、身体感覚や育ちやいじめや自尊感情などが絡み合っている可能性がある。調査で得られた課題に対して、保健医療福祉教育の専門職と討議を行い、介入プログラムや支援方法を検討する。プログラムの検討では当事者の視点を取り入れる予定である。
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